研究課題/領域番号 |
23520671
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 晃次 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (90291450)
|
研究分担者 |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
|
キーワード | 朝鮮語教育史 / 朝鮮語学習書 / 旧朝鮮語学 / 人物史主義 / 原物主義 / 朝鮮語学 / 朝鮮語 / 韓国語学 |
研究概要 |
最終年度である2013年度の課題について以下の成果を得た。 1.研究代表者が都道府県立図書館蔵の当該学習書の現地調査をさらに行い、書誌学的基礎データを拡充・正確化して充実させた。加えて、国内外の他機関所蔵の学習書の一部についても現地調査により正確な書誌が明らかになった。デジタル化資料や復刻版に依らず、可能な限り原物を手にして確認するという「原物主義」に基づく研究である点が重要である。 2.人物分析の基準作成の基礎研究として、研究代表者が社会言語学・朝鮮語教育史に基づきその生涯を通じて人物を見る人物史の観点から、研究協力者が言語学・朝鮮語学に基づきその人物が朝鮮語を言語学的に如何に捉えたかという朝鮮語観の観点から研究を進め、多元的・実証的に調査・分析を進めた。具体的な主要成果は以下の通りである。(1)「人物史主義」に依り、対象となる学習書著者のうち、島井浩・金島苔水・奥山仙三らの経歴・著書について、詳細な解明・考察を行った。(2)(1)に基づき、島井や金島を「代表的な朝鮮語の普及者」(SUNG Yuna)とした先行研究の評価は正確ではないことを明らかにした。(3)20世紀初めの日本人による朝鮮語観、すなわち朝鮮語文法の捉え方について、代表的な学習書である『韓語研究法』・『韓語文典』・『韓語通』を詳細に分析し、その実態を解明し、日本近代朝鮮語教育史という文脈で他分野との関連を踏まえつつ評価した。(4)ロシア・欧米で編まれた朝鮮語学習書を分析し、日本近代朝鮮語教育史との関連について解明を試みた。(5)金島の編著書を例に、近代日本の出版という視点から見ることによって、学習書の性格が明らかになることを提示した。 なお、それぞれの研究成果は主として4回開催した研究会で相互に発表・検討し、その一部については国際的な学会で発表した(国内2件・国外2件)。
|