研究課題/領域番号 |
23520676
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩崎 克己 広島大学, 外国語教育研究センター, 教授 (70232650)
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研究分担者 |
吉満 たか子 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (20403511)
HARTING AXEL 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (80403509)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | e-ラーニング / コンピュータ支援学習(CALL) / ドイツ語教育 |
研究概要 |
計画の初年度である平成23年度は、まず基礎的な調査と、ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages, 以下 CEFRと略)およびドイツ語技能検定試験やStartDeutsch 2 / Zertifikat Deutsch等の各種検定試験とその関連資料の分析を通じ、到達度評価の基礎として使い得る指標を明らかにしていく作業を行った。 基礎的な調査としては、広島大学において全学を対象にした中級以降のドイツ語学習プログラムとして導入されている「ドイツ語特定プログラム」受講者の学習履歴、学習ストラテジー、自己評価、到達レベル等の情報についての過去6年分の詳細なアンケートを集計・分析するとともに、初年度は、評価の「規準と基準」の修正、あるいは語彙や表現などの追加や差し替え等による重み付けの変更を通してCEFRから得られる指標を、日本(の大学等)におけるドイツ語学習の社会的な文脈という条件を通して特殊化(regionalized)する作業を行った。なかでも、特に基礎語彙に焦点を絞って作業を進め、基礎語彙については、ほぼ原案を確定した。 独検に関しては、主に2級~5級レベルに焦点を絞り、公開されている関連資料と過去18年間の出題問題の分析作業を進めた。現在は、その作業を効率的かつ一貫性のある形で進めるため、それらに分析用の関連データをタグ付けした作業用のデータベースを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
到達度評価の基礎として使い得る指標を明らかにしていく作業については、語彙や文法項目に関しては、当初の予定より作業は進行しているが、全体としては、ほぼ計画通りの進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、到達度チェックリストの作成と自己評価システムの設計を行うとともに、各種検定準拠のオンライン型テスト・課題等の開発を試みる。具体的には、計画初年度に得られた到達度の指標を項目ごとに細分化し、たとえば「~という場面で、~という条件があれば~を使って~することができる」等の宣言的な表現の形でまとめられた自己評価用チェック項目の束の形に再構成する。それぞれのチェック項目には、技能の分野や種類、前提となる場面や条件、使用語彙や表現、判定基準となる診断テストや具体的な判断事例を付け、学習者自身が一定の手続きに従ってチェックしていけば、判断の根拠を明確に示せる形で自己診断できるシステムを作成する。なお、チェック項目の束は構造化し、診断の深さもその用途に応じて分け、一番粗い上位カテゴリーのみを使った診断では50項目程度の分類を行い、それらの各項目ごとにその10倍程度のより詳細な下位カテゴリーのチェック項目を設けることで、学習者の診断ニーズに合わせて分野ごとに深さを選べるようにし、一倍詳細な診断では、最大で500~600項目程度のチェック項目を利用できるようにする。また、作業用データベースを参考にしつつ、文法等が重要となる言語構造部門とテキスト理解が中心となる読解・聴解支援部門に分け、上記検定試験準拠の模擬テストと練習用課題の作成を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
到達度評価に関する参考資料の購入(図書)、チェックリスト項目の整理、課題のデータベース化やオンライン化などの電子化作業の補助(謝金)、および中間的な成果の発表等のための旅費がそれぞれ必要となる。
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