研究課題/領域番号 |
23520688
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
呉 大煥 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20340218)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 韓国語教育史 / 解放前後の韓国語教育 / 基督教宣教師の歴史 / 韓国語教育の近代性 / 近代韓国語教育の形成過程 / 国際情報交流 |
研究概要 |
本研究課題は、これまで発掘した「宣教師のための朝鮮語教育」関連資料に加え、(1)新たな収集史資料と元宣教師らに対する証言の録取記録を基に、(2)朝鮮語教育史研究に空白として残された解放前後期の朝鮮語教育の実態を明らかにし、(3)これを近代朝鮮語教育の発展過程に位置づけるとともに、その社会言語学的意味を解明するという目的を有す。 初年度である平成23年度は、第一に、解放(1945年度)前後の宣教師のための韓国語教育と関わる政治・社会状況についての先行研究と植民地朝鮮における基督教宣教師のための朝鮮語教育を巡る状況を把握・整理した。また、この成果の一部は「国際韓国語学会」の学術誌に論文の形で公表した。第二に、韓国延世大学所蔵本の13種の朝鮮語教育関連資料を閲覧及び複写して分析対象の選別作業を進めた。また、ソウル大学所蔵の『Everyday Korean』などの新資料を発見し、その研究成果を国内の「韓国語研究会」において研究報告の形で公表した。第三に、実際宣教師のための韓国語教育を受けた側の経験談を纏めるために、韓国に滞在している元宣教師らとの面談調査を行い、1人の証言を録音することはできたが、他の元宣教師らに対しては、設問調査に変更し、1次調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者の急な大学辞職のことがあり、資料全般の収集作業が遅れたが、別の方からの協力を受けて研究を円滑に進めることができた。また、元宣教師に対する聞き取り調査は、一人の元宣教師に対する聞き取り調査とその内容の文字化はできたが、他の元宣教師らは健康上の問題などの個人事情による日程調整の問題が起こり、聞き取り調査ができなかったので、調査方法を設問調査に変更し、調査を行った。その結果、肉声を残すことはできなかったが、派遣当時と宣教活動時期の状況は概ね把握できたので、全体研究課題の随行には問題ないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の第2年目である平成24年度は、関連資料の追加・補足的な収集を行うとともに、元宣教師を対象とする設問調査を完了し、その内容を資料集とすることが課題となる。平成23年度の研究成果により「宣教師のための韓国語教育」に携わった中心人物、韓国語教育機関の主な教材が把握できたので、主に人物や教材を中心に研究を進め、解放前後の宣教師のための韓国語教育の歴史を整理し、また、アメリカのDrew大学にて資料調査を行い、収集した資料の整理や分析、教材の解題を作成するつもりである。最終年度である25年度は、24年度までの成果の詳細を執筆することや次の研究のための資料の目録化、研究報告書の作成などを行う予定であり、所期の目標は達成する見込みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、主に資料収集と成果報告のための旅費で6割、図書購入と研究補助人への謝金とその他で4割の割合で使う計画である。具体的な計画は以下のようである。旅費は、6月の韓国釜山での資料調査出張(釜慶大など)で約4万円、6月の国際学術大会(ベトナムホーチミン市)での報告で約7万5千円、9月のアメリカでの資料調査出張(アメリカDrew大学等)で約45万円、10月の「朝鮮学会」での報告で約5万円を計上している。また、図書購入(約11万円)、研究補助人への謝金(15万円)、その他(約12万円)の項目を立てて計上している。 研究費の使用計画は以上である。
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