平成25年度は、本研究課題の最終年度であったので、主に研究目標である朝鮮解放前後期の西洋宣教師のための朝鮮語教育の実態を明らかにする作業をまとめるため、研究期間中集めた資料の再確認と資料集の作成及び論文発表をおこなったのである。 第1に、「解放後の基督教宣教師のための韓国語教育機関の歴史的意味- Korean Language School(1949-1958)-」という論文を発表し、今まで知られたことがない解放後の宣教師による韓国語教育機関の実態を紹介し、この教育機関が近代的韓国語教育機関である「延世大学韓国語学堂」の設立に繋がっていることを証明した。第2に、論文「基督教宣教師のための朝鮮語教材『日用朝鮮語(Every-day Korean)』に関する考察」を発表し、1920年代の宣教師のための朝鮮語教育機関である「Language School」の主な教材である『Every-day Korean』の内容を分析し、当時の朝鮮語教育の特性を明らかにした。第3に、論文「日本における韓国語教育の特徴ーKFLのアイデンティティ再考のためー」を発表し、植民地時期の朝鮮語教育の特徴から現代の韓国語教育に至る経緯を説明し、歴史的観点からの朝鮮語教育の特徴に関して報告した。第4に、朝鮮解放前の宣教師団体の機関誌である『Korea Mission Field』に掲載されている記事の中から朝鮮語教育に関する内容の記事を選別し、資料集を作成した。第5に、本研究課題を集大成する論文「近代的韓国語教育形成過程」を韓国延世大学で開かれた国際学術大会で報告した。この報告の内容は、日本人による朝鮮語教育と西洋宣教師による朝鮮語教育を比較し、その歴史的な発展と消滅の過程を考察し、両朝鮮語教育が持つ歴史的意味や現代韓国語教育への連続性などについて考察したものである。 以上のように、今年度の成果は論文3本と研究発表1回に過ぎないが、本課題の目標である近代的韓国語教育の形成過程を明らかにすることは達成できたと思う。
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