研究課題/領域番号 |
23520689
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
水野 邦太郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (40320840)
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キーワード | 多読プログラム / Usage-based Theory / Data-driven Learning / コーパス |
研究概要 |
平成23年度・24年度にかけて、Oxford University Press から許可を得てOxford Bookworms Library(OBW)シリーズのStage1 からStage 6 の各Stageから10冊を選び60冊の「OBWコーパス」をインターネット上に構築した。そして「Stage が上がっていくごとに「単語」「レクシカル・チャンク」「文法」がどのように変化し発達して行くか、具体的に分析し考察できるデータ・ベースを完成させた。平成24年度後期に「OBWコーパス」を活用した「実験授業」を実施した。最終年度にあたる平成25年度前期に「OBWコーパス」を授業でより効果的に活用する方法を考案する。すなわち、学習者の読書量をさらに促進し語彙力・文法力を高めるためのプログラム(教材)を新たに開発し組み込む。そして、平成25年度後期に、本研究が掲げる「意識的・明示的な語彙・文法学習を取り入れた多読プログラム」を実施する。また、平成25年度学期末にはG-TELP という英語運用能力テストを行い英語力の変化を考察し、本プログラムの成果を問い報告書にまとめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Oxford Bookworms Library(OBW)シリーズにおいて、Stage1 からStage 6 の各Stageから10冊を選び60冊の「①OBWコーパス」を構築した。この「OBWコーパス」を授業で効果的に活用するために「②OBW語彙・文法辞典」「③OBW英文解説ツール」を平成24年度に新たに開発した。これら3つの道具を活用した実験授業を平成24年度後期に実施し、開発した3つのプログラムの有効性を吟味した。実験授業に対するアンケートの結果、90% の受講生が「英語の基本語の使われ方について意識的に学習することの面白さと重要性を認識した」と答えた。洋書を読むだけでなく、言葉の使われ方を観察し自分の英語の知識を再構築する学びを実践することがいかに教育的価値を持つかについて示唆を得られた。この実験授業をふまえて、最終年度にあたる平成25年度後期に本研究が掲げたプログラムを実施し、その効果を検証する。
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今後の研究の推進方策 |
1. 平成24年度の実験授業の経験から、「OBWコーパス」のデータは教師がデータを整理しそれを学習者に示すだけでなく、学習者自らが「OBWコーパス」を観察し帰納的にパターンを発見していく Data-driven Learning としても活用すべきものであることがわかった。「OBWコーパス」のデータを学生が観察できる「OBWコーパス 学習者バージョン」を開発する。 2. OBW シリーズは一冊一冊をマイペースで愉しみながら読むもの(Reading for Pleasure)であり、英語力を集中的に短期間に引き上げるトレーニングを行うには、OBW の読書と基本語に対する語彙・文法学習だけでは不十分であることがわかった。そこで、OBWシリーズの読書とは別に「速読トレーニング」を「授業中」に行う。「速読トレーニング」を授業の中に取り入れることにより、「授業外」のOBWシリーズの読書量に「拍車」がかかり、学期末に行うG-TELP のスコアの向上を期待することができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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