本研究は、3年間を通じて以下の3つの研究を行った: ①オックスフォード出版局から承諾を得て、Oxford Bookworms Library シリーズの英語を分析するため60冊をデータ・ベース化し、それを「文法」と「語彙チャンク」の観点から分析できるシステムを開発した。②①で開発したデータ・ベースを学生が自ら「観察」し、英語のチャンク(慣用表現)や「単語の文法性」に対する「意識化(Language Awareness)」を意図的に図る学習システム(Data-Driven Learning: DDL)を、①のデータ・ベースに実装した。③②のDDLを活用して授業を行い、その教育的効果を検証した。 ①②については、GR Database という名のサイトをインターネット上に構築し、2つの国際学会で発表した。③については、平成25年度の4月と1月に「文脈から一番ふさわしい単語を、同義語から選択するテスト」「単語にバラバラに分解されたチャンクを統語的に正しく並べるテスト」を行った。テスト結果は、1月の平均点と4月の平均点で大きな変化がなかった。今後、構築したデータ・ベースの教育的価値を引き出すために、DDL の授業をいかに行うかが大きな課題である。一方、「英語の運用能力」の変化を見るために G-TELP のテストを25年度の4月と1月に行った。その結果、特に「リーディングセクション」の点数についてt検定を用いて比較したところ、有意確率5%水準で有意な差が見られた。平均点を比較したところ、1月の平均点が高いことから、本研究がデザインした多読による学習効果があった可能性が示唆された。
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