研究課題/領域番号 |
23520692
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
飯村 英樹 常磐大学, 国際学部, 准教授 (30382831)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 言語テスト / リスニング / 多肢選択式テスト / タスク / 項目分析 |
研究概要 |
本年度は研究計画の1年目であり,文献研究とそれに基づく問題点の洗い出しを中心に行った。 過去の選択肢の数に関する研究には,方法論的な問題のあることが分かった。すなわち,選択肢を4択(1つの正解肢と3つの錯乱肢)から3択(1つの正解肢と2つの錯乱肢)にする場合に,どのように錯乱肢を削除するのが適切かを検討する必要性が明らかとなったのである。 例えば,4択のデータから無作為に錯乱肢を削除する方法では(Baghaei & Amrahi, 2011),削除した錯乱肢の機能が高かった場合,テスト項目の質に影響を与える可能性が考えられる。実際に過去の選択肢の数の検証を行ったRodriguez(2005)では,無作為に錯乱肢を削除するとテストの信頼性が下がると報告している(5択から3択および4択から2択に変更した場合)。また4択のデータから最も魅力のない錯乱肢を削除する場合(Shizuka et al., 2006),もともと魅力のない錯乱肢を除外しても結果は変わらず,3択に有利な検証方法となっている恐れがあると言わざるをえない。 上述の問題点をクリアするには,4択のうち最も魅力がないと思われる錯乱肢を予測して削除する方法が考えられる。この方法は,2人以上の専門家が判断することで信頼性を高めることができ,またテスト作成時に近い状態が保てる(最初から3択問題として作成された状態)と予想されるので,過去の検証方法よりも正確に4択と3択の比較検証ができると思われる。 以上のことを踏まえ,本年度の後半では,本研究の目的であるリスニングテストの選択肢の数を検証する前段階として予備研究の準備を行った。この予備研究の目的は,上記の方法論的な問題を解決するためである。具体的には英検やTOEICのテスト問題を精査したうえでマテリアルを作成し,言語テストの専門家に調査依頼を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献研究による検証では,問題点が明らかになり解決方法についても検討することができた。 しかしもう1つの目的である次年度の実験参加者の確保については進まなかった。これは協力依頼を見込んでいた学外の協力者(英語教員)が異動または退職したためである。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究の収集を継続するとともに,学会や勉強会に参加・発表を行い,多くのフィードバックを得て研究の精度を高めることにする。 予備実験の参加者確保については,以下の2つの方法を考えている。1つめは,学内の学生を対象として,春学期中にチラシを配布して協力を呼びかけ,秋学期の早い時期に実施する。2つめは,学外の英語教員に夏休みまでに協力を依頼するとともに実施時期を調整し,冬休み前までの実施を目指す。参加者の人数は学内50名,学外100名で合計150名を想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては,英語教育関連および統計関連図書の購入とともに古典テスト理論に基づく項目分析ソフト(Iteman)やラッシュモデルソフト(FACETS)の購入を計画している。 旅費としては,夏から秋にかけて情報収集のための学会(全国英語教育学会や日本言語テスト学会,日本テスト学会を予定)するために使用する予定である。 謝金に関しては,実験参加者への支払いが主であるが,収集したデータの整理を行う研究補助者への謝金としても使用する計画である。 その他に,データの保存媒体(USBメモリ等)や文献の複写,論文の英文校正などに研究費を使用する予定である。
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