研究課題/領域番号 |
23520698
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小張 敬之 青山学院大学, 経済学部, 教授 (00224303)
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研究分担者 |
萓 忠義 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (00515752)
木暮 祐一 武蔵野学院大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (20565303)
半田 純子 サイバー大学, 総合情報学部, 准教授 (90531301)
古川 宏 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (90311597)
伊藤 一成 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (20406812)
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キーワード | モバイルラーニング / CALL / 英語教育 / 言語情報科学 / 応用言語学 / e-Learning |
研究概要 |
平成24年度は、次世代モバイル学習における授業環境構築と教材開発を目的とした研究を進めてきた。大学生による携帯電話、スマートフォン、スマートタブレット、PCの利用状況と、学習における利用実態や需要に関する調査を実施した。青森公立大学、青山学院大学、学習院女子大学、筑波大学、東京工業大学、武蔵野学院大学、立教大学、早稲田大学にて実施し、398人分のデータを得ている。 スマホのみを利用する者が71.6%、タブレットのみが2.3%、両者を利用する者が9.8%、よって83.7%がどちらかの端末を日頃から使用しているとの結果を得た。携帯電話のみの利用者は16.3%であった。14.9%の者がタブレットを所有、98.0%の者が個人あるいは家族共用のPCを所持していることが判明した。8割強の学生がスマホあるいはタブレットを、98%がPCを利用できる状況にある。8割強がモバイル学習を利用したいとする一方、2割弱はモバイル端末の制約や学習環境の好みの理由から利用に消極的である。モバイル端末の利用知識の有無、利用方法の指導の有無と関連していることが判明した。 2012年度後期にオンライン学習に関する2つの授業実験(60名対象)を行った。(1) 携帯電話・PCを利用したTOEIC学習の効果 (2)オンライン教材 Coursera を利用した英語教育利用、モバイルデバイス・PCを利用した英語教育は、TOEICの得点が2つの授業実験においても100点以上伸び、600点以上を取得した学生が7名から19名に増えた。100%モバイルを利用した学習は不可能であるが、TOEICのテスト結果、学生の英文評価、口頭要約評価、ならびにアンケート結果から、モバイルを利用してオンライン上の教材を活用した英語学習の可能性は見えてきた。PCと携帯デバイスをうまく融合させたブレンド型の英語教育の効果が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、すでに開発されたNewton e-Learning TLTソフトとCousera(Open Course Ware教材)、TED Talks等の教材を使用した、授業実験を行い、ブレンド型の英語教育の有効性を検証してみた。後期の授業で、毎回モバイルを利用した学習指導のメンタリングを行った結果、60名の学習の平均時間が42時間、79%の学生がe-Learning TLTの教材を全部終了したと回答している。事前・事後のテストを比較した場合に、平成23年度よりも平成24年度の方が、CASEC/TOEICの得点がより伸びていた。スマートフォンの利用者が多くなり、30%以上の教材を携帯で学習していることから、よりシームレス環境での学習が促進していることが判明した。 学習機能環境(モバイルを利用した学習環境・他)に対する適切なメンタルモデルをどのように学習者が有することができるか、メタ的な学習支援としてのヒューマンインターフェイスやマニュアルなど情報提供方法を開発し、それをモバイルラーニング(英語教育)に応用していく計画を立てた。学習者が自主的に学習を進めるには、自らの目標に対する各ツール・教材の有効性を正確に予測することが不可欠である。このために、学習ツールとして利用するシステム・機能に対する利点・制約・相互関係に関する適切に構造化された知識体系(メンタルモデル)の調査、学習者が有するメンタルモデルの内容と進度による変化の調査、学習目標(達成したい知識・技能の仕様)の調査、2者間の整合性の評価と適切な関係を検討し、これを実行するためのヒューマンインターフェイスやマニュアルなどの情報提供法の検討をした。しかし、これらは未完成で、平成25年度の授業実験を行いながら明らかにして、マニュアル等の情報提供を計画したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、Global Voiceの音声ソフト、ATR CALL、オンライン学習教材のTED TalksやCoursera, Newton eLearning 教材等を、PCとモバイルで学習させて、英語教育効果を測定する予定である。すでに、Pre-TOEIC Test並びに音声を単語・文のレベルで事前の録音をして、1年間学習した後で、Post-TOEIC Test、事後の録音をして、学生の英語の向上度を見る授業計画を進め、実施中である。学習ツールとして利用するシステム・機能に対する利点・制約・相互関係に関する適切に構造化された知識体系(メンタルモデル)の調査、学習者が有するメンタルモデルの内容と進度による変化の調査、学習目標(達成したい知識・技能の仕様)の調査、2者間の整合性の評価と適切な関係を検討して、これを実行するためのヒューマンインターフェイスやマニュアルなどの情報提供法の検討をしていく。すでに、シンポジウムモバイルで、平成24年度の授業実験等に関しては学会発表を行った。平成25年度は、World CALL 2013, EuroCALL2013, GLoCALL2013 等の国際会議、LET2013, PC Conference 2013 等で発表をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1) Global Voice ソフト、ATR CALLソフト、Newton e-Learning TOEIC Practice Kit、オンライン上のTED Talks, Coursera 等を利用しながら、1年間英語教育を実施した場合に、学生がどのように英語力を伸ばしていくことができるか、シームレスな学習環境を構築しながら、授業実験を開始した。すでに、pre-treatment として、TOEIC Pre-test を4月に実施、また学習者の英語音声の変化をみるために、単語と文を録音させた。このような授業実験にかかる費用のために研究費を使用する。 (2) 学習ツールとして利用するシステム・機能に対する利点・制約・相互関係に関する適切に構造化された知識体系(メンタルモデル)調査、学習者が有するメンタルモデルの内容と進度による変化の調査、学習目標(達成したい知識・技能の仕様)の調査、2者間の整合性の評価と適切な関係を検討する調査実施のために、研究費を使用する。 (3) World CALL2013, EuroCALL2013の国際会議で発表するために、旅費・参加費として研究費を使用する。
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