研究課題/領域番号 |
23520701
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
渡部 良典 上智大学, 外国語学部, 教授 (20167183)
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研究分担者 |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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キーワード | 英語教員の技能 / 診断システム / 構成概念妥当性 / 現職教員 / 教員養成 |
研究概要 |
教育実習から帰ってきた学生が、そして特に新任の教員が口を揃えて報告するのが、英語以外の仕事が多いという感想である。中には英語の教員としての専門性が問われるのは3割くらいであるという声を聞くこともある。しかしながら、いじめの問題にせよ、放課後のクラブ活動や進路指導、どれをとっても英語教員としての関わり方ができるはずであるし、またそうすべきであるというのが本年調査を始めた基本的な考え方である。 本申請では現職の教員が経験している問題点を洗い出し、診断を行うプログラムを開発し、それを学部における教職科目にも役立てることを目標としている。本年度は、現職教員と教員養成コースの現役学生との認識の違いを調べることを目的とした。 この目的を達成するために次の作業を行った。1)アンケート作成:66項目から成るアンケートの草案を申請者2名で討議しながら作成した。さらに、初任者教員12名との会合を開催しアンケートの草稿に回答してもらった。2)初任者教員との会合において、さまざまな視点から、現在専任教員の視点から教職科目における授業を振り返ってもらいながら討論を行った。3)英語科教育法において、学部生からみて実際に役立つ内容をアンケートによって、またテストを行って現役の学生にはどのような知識が欠けているのかを検証した。1)2)3)の結果は分析の最中であるが、教職希望の学部生にはメタ言語的な知識が欠けている傾向がある一方、実践的な指導法とくに授業案の作成方法に多大な関心を示している傾向がみられた。一方、現場では一旦作成した示度案を授業中いかに柔軟に使うかが重要であるという指摘もあった。さらに成果を公表するためにHP作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次の項に記載の通り、次年度はアンケートの実施および授業観察を行う。したがって、アンケートの項目が本調査の目的に合致しており妥当であること、すなわち新任教員がどこでつまずくのかを診断することができるということが必要となる。今回は申請者が内容を十分に検討し、さらに少人数の対象者に実施をし、フィードバックを受けるというプロセスをとり、当該目的を達成するための道具立てができたということができる。 また診断のために次年度は授業観察を予定しているが、今回作成したアンケートは観察記録を作る上でのひな型となる。昨年度の最後には新任教員に集まってもらい、彼らの声を直接聞きだしたが、現在助手に依頼して文字起をしているところである。この結果についてもアンケートおよび授業観察・分析の枠組みに取り入れ、さらに充実したものとする予定である。 できれば、さらにテストへの具体化および実施を行うことを予定しているが、そのためにはアンケート、テストと共通の内容で規準を作成し授業観察を行う予定である。本年度はその準備が十分にできたということができる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施するのは授業観察とアンケートの実施、および結果のまとめと公表である。 1.アンケート実施:教員希望の大学生、新任教員、ベテラン教員を対象にアンケートを実施。3者の間に差があるのかどうか、あるとすればどこにあるのかを検証する。2.授業観察:対象は新任教員の授業。以下の手順で進める。1)参加者に授業前面接で授業の目的、日頃の問題点などを確認。2)授業を録画しながら観察。フィールドノート記録。期間は1校につき週1回の授業1ヶ月4回を予定。3)授業後面接を行い、問題点などを確認。4)質問紙を実施。5)自己評価を分析。6)録画した授業風景を記録.7)学生のコメントを分析。8)フィールドノートを分析しまとめる。9)上述#5~#8の結果を、コンピューターソフトに入力。10)#9の結果分析。11)結果に基づいてプログラムの効果検証。効果は認められたか。効果が認められたのはどの点か。認められなければどの点を改善すべきか。これらを検討する。さらに、他大学の教員、現職の教員、その他の有識者などの意見を求める。3.総括:フィードバックなどを基にして、これまでのまとめを行う。1)教員養成カリキュラムの概念図作成。2)必要と想定される授業科目の設定と内容の詳細を記述。3)検証結果をまとめる。4)実施方法提案。最終報告発表:成果について学会等で発表、そのための準備。 最終報告配布研究成果まとめの冊子作成、関係者に配布。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主に以下の目的で使用する予定である。以下の番号は上記の研究調査活動に一致している。1.質問紙の実施、結果分析(印刷費、謝金等)、2.授業観察のための旅費、授業観察の文字起し(謝金)、3.報告書作成(謝金、印刷費)。
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