研究課題/領域番号 |
23520704
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊東 弥香 東海大学, 外国語教育センター, 准教授 (20434201)
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研究分担者 |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
金澤 延美 駒沢女子短期大学, 保育科, 教授 (40281555)
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キーワード | 国際情報交流(韓国) / 国際情報交流(米国) |
研究概要 |
本研究の目的は,教職課程履修者用「自己評価ポートフォリオ」試案の検証を通し,小学校英語の指導者に求められる「英語教授力(英語力・指導力)」の「基準化」について提言を行うことである。 1.(1)「教育内容」に関して:①広島大学大学院・教育学研究科にて,外国語(英語)活動と外国語(英語)学習の「評価の規準と判定基準」に関する専門知識の提供を受けた。②小学校外国語活動(英語)の現状を知るために,研究会や授業見学に参加した(鳴門教育大学附属小学校ほか)③小中高の連携の現状を知るために,中学校,高等学校での研究会や授業見学に参加した(尾道市立日比崎中学校ほか)。④日本の小学校英語の教科化を前提とした上で,児童の英語力の到達度の規準・基準を設定するために,ロスアンゼルス統一学校区(LAUSD)において「英語を母語としない児童」を対象に使用される評価ポートフォリオの項目分析を行った。さらに,日本語訳後,各項目の活動例を提示した小学校英語用「評価ポートフォリオ」第1試案を作成し,教職課程履修者,大学院生,現職小学校教員に対してパイロット調査(1)を実施した。 2.「教師教育」に関して:①広島大学・教育学部と大学院・教育学研究科にて,中等科英語教育の指導法と実践研究について学んだ。②米国の教員養成・教師教育の現状を知るために,教職課程プログラムに関する視察調査を行った(USD,CSUN)。③韓国の教員養成・教師教育の現状を知るために,小学校英語の関連機関での視察調査を行った(SMOEほか)。 3.学会(口頭発表):JACET関東支部大会,JASTEC全国大会,JUSTEC/(参加):JASTEC全国大会,JES千葉大会,JACET全国大会,AAAL 4. 学会(論文発表):JACET関東支部学会誌(第9号),駒沢女子短期大学「研究紀要」(第46号)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主に以下の2点に関して,計画の遅れが生じている。 ①自己評価ポートフォリオ パイロット調査のための試案作成については,米国のスタンダードに基づく「英語を母語としない」英語学習者のためのLAUSDポートフォリオ評価項目を参照しながら,日本の小学校英語活動の実態に即した評価項目の精査を行ったが,日米の評価項目の精査において,当初の計画よりも時間を要した。そのため第1試案の作成が遅れ,アンケート実施対象者の協力を得る条件が整わなかった。 ②韓国の実態調査 教育課程に関して集積すべき資料が予想以上に当該国の言語(ハングル)で記載されていたために,現地調査によって関係者から直接情報を入手せざるを得なかった。そのため実質的な調査のスタートが計画より遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
A. 教育内容と教師教育の基準化に関する実態調査(韓国):①小・中・高一貫英語教育推進のための教育課程編成の考え方・原理を整理し,確かな学力育成のための取り組みの特徴と方法を解明する。②教育効果と問題点(学習者の英語力の育成と公教育改善・充実)との関連性を明らかにする。 B. 教育内容と教師教育の規準・基準に関する実態調査(米国カリフォルニア州):①教師教育の規準・基準設定の理念を明らかにする。②その理念を反映したLAUSD評価ポートフォリオ評価項目が日本の児童に対して妥当性を持つ小学校英語用評価ポートフォリオ,さらに教職履修者用自己ポートフォリオ作成につなげるようにする(以下C,D)。 C. 小学校英語用「評価ポートフォリオ」開発:①日本の学習指導要領に基づく「英語(学)力」の構成要素を明らかにし,英語学力到達度に関する評価規準・方法を検討する。②平成24年度に実施したパイロット調査(1)の結果を分析し,評価ポートフォリオのチェック項目(第1案)の精査(5月)。③チェック項目(第2案)の作成(6月)。④パイロット調査(2)の実施(7月,8月)。(対象者(a):小学校英語に関わる教職科目担当者,対象者(b):小学校英語専科教員(経験者を含む))。⑤チェック項目(第2案)の精査(9月)。 D. 小学校英語指導者用「自己評価ポートフォリオ」開発:①指導者に求められる「英語力」の構成要素を明らかにし,教職課程履修者用「自己評価ポートフォリオ(チェックリスト)」試案を作成する。②上記Cのチェック項目(第2案)の精査をもとに,小学校英語指導者用のチェック項目を作成し,パイロット調査を実施する。③チェック項目(第3案)の作成(9月)。④パイロット調査(3)の実施(10月)(対象者:教職課程履修者)。⑤チェック項目(第3案)の精査とまとめ(11月,12月)。⑥報告書の作成(1月,2月,3月)。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進において,平成24年度に計画していた「自己評価ポートフォリオ」試案作成,および「韓国の実態調査」に遅れが生じ,「次年度使用額(繰越金)」が発生した。そのため平成25年度には,当初予定していた研究費に加えて,本繰越金を主に次の目的で使用する予定である。 A. 小学校英語用「評価ポートフォリオ」の開発 B. 小学校英語指導者用「自己評価ポートフォリオ」の開発 ・国内旅費:調査・資料収集(学会参加),成果発表(学会発表) ・謝金等:資料整理・翻訳・通訳(韓国語),パイロット調査(2)(3)の実施費:配付・集計・分析,会議費(年6回×3名),報告書の作成
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