研究課題/領域番号 |
23520706
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
斎藤 早苗 東海大学, 文学部, 教授 (80298075)
|
研究分担者 |
河原 俊昭 京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (20204753)
高垣 俊之 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (60226743)
木村 麻衣子 武庫川女子大学短期大学部, 共通教育科, 講師 (30290414)
CAROLYN Wright 京都光華女子大学, 人文学部, 准教授 (60329943)
|
キーワード | マイノリティー言語 / 外国人住民 / 言語支援 / 地方自治体 / 言語景観 / 言語的人権 / 平易な英語・日本語 |
研究概要 |
最終年度に当たる本年度の成果について3件の事例(京都市・三重県津市・東京都豊島区)から以下に述べる3項目(1)情報の流通、(2)平易表現、(3)少数言語への対応を重要課題として検証した。1つ目の情報の流通については上記の3地域に共通問題として見出され、外国人市民へ情報が十分に行き届いていないという実態が把握された。市から提供される情報量の多さや提供方法の多様化が伺える反面、専門用語の多使用のために生じる言語的不利益をはじめ情報の入手方法の困難さを示す回答が目立つ。情報の入手方法として多くの回答者が「友人」と示している。2つ目の平易表現に関して特に英語を母語としない外国人住民が言語的・社会的問題を抱えていることが目立った。例えば年金制度や医療問題に関する専門用語理解の問題が著しく重要課題となる。3つ目は少数言語に関する言語支援である。上記3つの地域の情報内容を検証すると日本語を含む英語が中心であり、他の言語を母語とする市民への対応は十分でないことが把握できた。例えば製造業地域として特徴づけられる津市ではブラジル人住民が多いことから市内の掲示板や標識は主に日本語、英語、ポルトガル語で提示されており他の国籍を持つ市民に向けた情報提供にも配慮したい。さらに英語圏の外国人市民が多くを占める京都市では日本語・英語による表示が標準であり、各市が掲げる国際都市推進対策に追いついておらず今後の取り組みが急務である。東京都豊島区の場合、特に池袋を拠点とした情報提供は主に日本語と英語の2言語であり、中国人が多く住む池袋周辺においては中国語と日本語の使用が目立つ。こうした基準は外国人登録者数の国籍比を根拠とする場合が考えられる。但し豊島区の報告によると外国人住民も参加する参画型会議の実践があり意義深い支援対策として注目したい。以上3項目を直視した言語支援開発のさらなる課題解明が求められる。
|