ジャンルに基づくライティング教授法を受けた英語学習者の変化を「英語力」,そして「ライティング力」という二つの能力に焦点を当て,一年間というスパンで縦断的に追跡した.学習者は,授業開始時のタスクでは,書くという行為を「正しい文法で英文を産出すること」と捉え,「正確さ」に注意を向ける傾向があった.そこでは,相手意識や目的意識といった配慮が欠けており,文法的に正確ではあっても社会的に不適切な語彙を選択する傾向が見られた.しかし,一年後に産出された文章を分析した結果,学習者の相手意識や言語意識には大きな変化が見られ,その意識の変化は,実際に学習者が選択する語彙や文法にも反映されていた.
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