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2011 年度 実施状況報告書

L2音韻習得における二重モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23520709
研究機関法政大学

研究代表者

川崎 貴子  法政大学, 文学部, 准教授 (90308114)

研究分担者 MATTHEWS John  中央大学, 文学部, 教授 (80436906)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード第二言語習得 / 音韻習得 / 音声学
研究概要

平成23年度は,Werker & Logan (1985) 他に示された音声・音韻の2つの知覚処理レベルが、第二言語習得においても同様のパタンを見せるか、実験を行い調査した。先行研究に倣い, 250ms ISI の短い弁別タスクでは音声レベルの細かな手がかりを利用する処理が可能であり,一方1500ms ISI と刺激間幅の長い弁別タスクでは,音声手がかりが時間経過により音韻レベルの手がかりのみが利用可能であると仮定した。この仮説に基づき、日本語母語話者が英語の歯間摩擦音とその他の摩擦音・破裂音をどう弁別するかの知覚実験を行った。先行研究において想定されている仮説に基づけば、日本語母語話者は250msISI レベルでは音声手がかりが利用できると予想される。一方, 1500ms ISI では, 音声レベルの手がかりは時間経過とともに利用不可能になっていると予想される。よって、母音環境などの、非音韻レベルの音響手がかりは,250ms ISI では知覚に影響を与えることはあるものの,1500ms ISI においては影響を与えないはずである。実験の結果,250ms ISI 環境のみならず, 1500ms ISIにおいても母音環境の違いが知覚に影響を与えていることが分かった。つまり,第二言語習得では音声・音響的手がかりは単に時間経過と共に利用出来なくなるものではないことが分かった。また実験では,正答率の低い刺激ペアで,音響手がかりの影響がより顕著に見られた。この結果は,第二言語習得のモデルはもとより、母語習得においても上位レベルの音韻カテゴリの確立が,下位レベルの手がかりの抑制につながっていることを示唆している。本実験における結果は先行研究から予想されたものとは異なり,第二言語習得の音韻カテゴリの生成と音響手がかりの関係性についての新たな発見が得られたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

L2の音韻と音響手がかりの関係性については順調に研究が進展している。一方、発話と知覚との比較には至っていない。これは、知覚実験の結果が先行研究とは異なるものであり。当初想定していた結果と異なる発見があった為である。L2音韻習得においては重要な発見であったと考えている為、24年度も更に知覚における音響手がかりの調査も継続する。

今後の研究の推進方策

今後は今年度明らかになった音韻習得過程における音響手がかりの使用についての調査を継続する。また、24年度は知覚実験のみならず発話実験を行い、メタ言語的知識を使用することにより、発話がどのように改善するかの調査を行いたいと考えている。メタ言語的知識が知覚・生成(発話)に与える影響の違いを明らかにすることで、最終的には本プロジェクトの目的である、第二言語音韻習得モデルの構築につなげる。

次年度の研究費の使用計画

次年度はメタ言語知識と習得との関係性を明らかにするため、コンピュータラボで同時に複数の被験者を対象として知覚実験・および発話実験を行いたい。このため、知覚実験を実行するためのソフトウェア(SuperLab)のRun-Time ライセンスを20本程度購入したいと考える。また、更に厳密な反応時間の計測を複数のPCで可能とするため、必要に応じてノートPCを1台、反応ボタンボックスを2台、追加で購入したいと考えている。SuperLab の購入は昨年度の予定であったが、ラボでの実験にはフルライセンスを1本購入するよりも、Run-Time ライセンスをまとめて購入する方が実験目的にかなっているため、本年度の予算のSuperLab の購入分を次年度の予算とあわせ、複数のRun-Time ライセンスの購入にあてることとした。 昨年度から今年度にかけて行っている実験結果をまとめたものを、国内、または海外の学会で発表することを計画している。そのために研究代表者・研究分担者の学会参加費、および海外旅費を計上したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] カタカナ代用による第2言語音知覚調査2011

    • 著者名/発表者名
      川崎貴子
    • 雑誌名

      法政大学文学部紀要

      巻: 第63号 ページ: 29-37

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公開日: 2013-07-10   更新日: 2013-09-04  

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