研究課題/領域番号 |
23520718
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
塩澤 正 中部大学, 人文学部, 教授 (10226095)
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キーワード | 国際研究者交流 / アメリカ / グローバル英語 / 国際英語論 |
研究概要 |
本研究の目的は国際英語論の立場から日本の教育現場で英語を教えるときの考え方、態度、留意点、基準などを、国際英語論との関連領域から考察し、具体的教授法や教材までを提供することである。 24年度は、継続して「国際英語」に関して具体的に内外の先行研究を整理し、地域英語変種のInternational Intelligibility に関わる諸問題を整理した。加えて日本における国際英語の立場を明らかにすることができた。 また、英語の多変種との接触が、学習者の英語観に与える影響の有無とその程度を中心に調査した。英語多変種との接触を最も容易に可能にしてくれるのは留学である。Outer Circleへの留学経験者を被調査者とし、Inner Circleへの留学経験者、さらに留学未経験者との比較を試みた。また同時に、国際英語論に関する直接的な学習経験を持つ者と持たない者、さらに学習経験を持つ者の中で留学経験のある者とない者との英語観の比較も行った。この成果はJACET中部支部紀要で論文として発表した。 加えて、世界からの留学生が集まるアメリカのESLに置いて、様々な英語の変種に対する態度に関する調査を行った。加えて、多様な英語の録音収集をし、教材開発の基礎資料とすることができた。さらに、「国際英語論」の視点から、目指すべき目標や態度を具体的に提示し、指導上の留意点を平成23年に作成したが、さらに検討を重ね、修正と追加をした。 来年度の出版を目指して、国際英語論の観点から英語を教えることに適した英語学習教材と『国際英語論が英語教育を救う』(仮)の原稿を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむね、予定に近づいてきたが、それでも当初の予定よりは遅れていると言わざるを得ない。これは、初年度に在外研究で海外に行っていたためである。本研究を進めるための出張や機器や書籍の購入が自ずと制限された。昨年度は、それを取り戻すべく、鋭意研究をすすめたが、当初の予定よりやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、最終年度にあたる。継続して、英語の汎用度とは何かについて調査していく。発音や文法や語彙ではなく、「聞き手の判断する「流暢さ」であることを検証したい。これは日本語なまりの英語のサンプルのプロソディ―を変えて、非日本人に聞いてもらうという一連の実験で可能であろう。 また、引き続きouter circleやexpanding circleに於いて英語教育で大きな成功を収めている国の調査を進めたい。自国の英語変種に関する意識、英米偏重主義からの自立度、国際英語論的視点の受容度をアンケートとインタビューを計画している。 教材と論文の執筆は継続する。写真、動画、音声などを含むマルチメディア教材としたい。可能であれば、まずはインターネット上で公開する。また、『国際英語論が英語教育を救う』(仮)は書き上げたいと思っている。この中には、「国際英語論」の視点から、目指すべき目標や態度を具体的に提示し、指導上の留意点を明示する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 23年度に在外研究に出ていたため、24年度に行うべき研究がやや遅れた。このため、24年度に予定していた物品の購入は、平成25年度研究計画の予算と合わせて予定することとした。統計分析ソフトと機器その他の購入に約300,000円を充てる予定である。 2. 予定通り出張したが、23年度の出張費が残ったために予定より少額で済んだ。今季で、旅費として400,000円を確保し、海外でのデータ収集と研究発表に当てたい。 3. 1と同じ理由により、一年押して、調査データの分析をお願いしている。よって、謝金の学が少額で済んだ。本年度は、謝金に約200,000円あて、音声の分析、データ入力、intelligibility評価をしてもらう予定である。
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