研究概要 |
言語学習者はどのように語彙を発達させていくのだろうか。母語話者と第二言語話者の語彙知識は、どのように、なぜ異なるのか。本研究は、英語母語話者(成人、子供)と日本人英語学習者(beginner, intermediate, advanced)を対象に、英語派生語の音韻知識(強勢の位置)と形態知識(形態素への分割)を調べることにより、語彙発達の過程の一端を明らかにしようと企画された。特に、語の処理と保持に関して、語全体を保持しているのか、規則に基づいた処理を行っているのか、どちらが優勢なのかという問題を中心に考察を加え、母語話者・学習者を含んだ語彙発達モデルを提案したい。言語学習者の語彙知識がどのようなものであり、どのように発展していくかという問題は、第二言語習得研究の中心課題の一つである。英語の理解・生成に関しては、派生語の知識は欠くことが出来ず、また語彙の発達に大きく貢献する(e.g., Marslen-Wilson, 2007; Tyler & Nagy, 1989)。 平成24年度の実施内容は以下の通り。 (1)実験材料の選定・作成:英語の語彙発達の過程を調べるための実験に使用する材料として、単一形態語と派生語の形での、英単語と無意味語を100語用意した。選定要因として、頻度と派生の種類を統制した。 (2)実験の実施と結果の解析:英語学習者(上級者20人と中級者20人)に実験を実施した。その結果、頻度は中級者のみに影響し、派生の種類は、英語力に関係なく、上級者・中級者ともに影響を与えた。
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