研究課題/領域番号 |
23520725
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山西 博之 関西大学, 外国語学部, 准教授 (30452684)
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研究分担者 |
土方 裕子 東京理科大学, 経営学部, 講師 (10548390)
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キーワード | 英語教育学 / 英文要約 / 測定・評価 / 国際情報交流(イギリス) |
研究概要 |
平成24年度は、日本人大学生が書いた英文要約(サマリーライティング)評価用の分析的評価尺度を開発するために、主に以下の2つの事柄を行った。 1. 分析的評価尺度の内容・形式に関する調査 イギリスの大学院で応用言語学を研究している複数の研究者に依頼し、実際に日本人大学生の英文要約の評価を行ってもらうとともに、評価尺度の改善点を指摘を行ってもらった。併せて、日本人大学生の指導に従事している複数の大学教員(本研究グループのメンバー外)にも同様の依頼を行った。平成23年度の終わりに収集したこの評価結果データを分析した結果、既存の尺度には含まれていない内容である「言い換え(パラフレーズ)」の評価が重要であることが分かった。また、尺度の形式としては「~できる」というCan-do形式を取ることが望ましいことが分かった。そのため、本研究課題で開発する尺度では「言い換え」に特化した項目を含み、かつCan-do形式を取ることになった。 2. 分析的尺度の暫定版の作成と専門家の判断 上記1の結果を踏まえ、「内容」「言い換えの量」「言い換えの質」「言語使用」の4観点からなる暫定版の評価尺度(英語・日本語のバイリンガル仕様)を作成した。この評価尺度に対して、研究代表者・分担者・協力者が試用を繰り返し、内容や形式、文言の修正を行った。さらに、「専門家の判断(expert judgment)」として、言語テストの分野で多くの研究業績を有する研究者3名に改善のための意見を尋ねた。 現在は、上記2で得られた意見の集計と、それを反映した尺度の修正を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の目的から若干の方向修正はあったものの、研究成果の公表に関しては国内の全国規模の学会での発表や国際学術誌への投稿を行うなど、総合すると、おおむね当初の「研究の目的」にそった進展があったものと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載したとおり、暫定的に開発した要約評価用の尺度の改善・修正を行う。その際に、「専門家の判断(expert judgment)」によって得られたデータを分析し、より信頼性と妥当性、そして実用性の高い尺度へと精緻化する。併せて、異なるタスクや対象者に対する研究を行うことで、評価尺度を用いた指導と評価の適用可能性を高めることを目指す。 また、最終年度である次年度(平成25年度)は、得られた成果を公表し、指導や評価の経験のある教員から広く意見を得る機会をできる限り設ける。そのため、通常の学会発表以外に、ワークショップ等を開催することで、知見の公表を行うとともに、フィードバックを本研究に取り入れることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に学会参加・資料収集のために赴いた海外出張において、当初予定していた渡航額に満たなかったため、12,748円の研究費が未使用のまま繰り越された。次年度(平成25年度)はその分の研究費を、上記「推進方策」に記載したように知見の公表のために有効に活用することで、研究のより効果的な推進を目指す予定である。
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