平成25年度は前2ヵ年の間に実施した様々な試みを総括する最終年度とした。最初に作成した動物模型と二次元コードとの組み合わせについてはおおむね成功したが、動物模型の成功にヒントを得て作成したUVインク使用の動物絵画については、長年にわたり点訳絵本の作成を手掛けてこられた専門家から看過することのできない欠点が指摘された。すなわち、動物の体の輪郭のみをUVインクで浮かび上がらせ、その他は省略するのが最善の方法であることがわかった。本研究グループによる動物絵画には動物の体の皺や模様のみならず、周辺の樹木や草原などもUV表現されており、余分な「ノイズ」が各所に生じることになった。また、動物はそれぞれが単体で表現するべきものであるが、草食動物の常として体を寄せ合った姿勢をそのまま表現してしまったために、視覚障害者にとってそれぞれの動物の輪郭が判別しづらいものになってしまった。音声解説は、動物模型のために作成したものを再利用したが、解説内容が一般的であって場の脈絡に対応していないため、あまり有意味的ではないなどの指摘があった。 以上に述べた研究結果について、平成25年8月に二次元コード研究会主催の第2回シンポジウム「命をつなぐ・知識をつなぐ・言葉をつなぐ.視覚に障害のある人の情報保障―二次元ドットコードの有効活用」において「二次元コードを利用した情報保障の試み―動物フィギュアと動物絵画の音声解説」という題目で発表を行った。その内容を論文にまとめたものは、日本英語音声学会の学会誌である『英語音声学 第18号』(平成25年12月刊行)において「二次元コードを利用した情報保障の試み」という題目で掲載された。
|