研究課題/領域番号 |
23520727
|
研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
|
キーワード | タッチ性向 / 異文化コミュニケーション / コミュニケーション距離 / パーソナリティ / 非言語行動 / タッチ経験 / Big Five / 発達段階 |
研究概要 |
他者との対面コミュニケーションの際に、非言語コミュニケーションの役割は大きい。非言語コミュニケーションの表現方法には、表情や声以外にも身体に触れる「タッチ」なども含まれる。しかしながら、タッチのような非言語コミュニケーションによる感情表現の授受や調整を誤ると 緊張感や警戒心が高まり、不快感や疎外感を覚え、うまく異文化間コミュニケーションをとることができなくなる。 本研究では、非言語コミュニケーション手段としてのタッチ性向に注目し、パーソナリティがタッチ性向に及ぼす影響について日本人と韓国人を対象に比較調査を行った。人々の中には、タッチを好む人も、好まない人もいるが、そのようなタッチ性向の高低をパーソナリティによって普遍的に説明しようと試みた。 パーソナリティがタッチ性向に及ぼす影響については、幼少期のタッチ経験や文化間相違、性別などとの関連を考慮し、これらをモデレータ変数として取り上げた。特に、親子間や友人間のタッチに注目し、その部位ならびに程度を調べることで、日韓の間のタッチ性向の相違を明らかにしようとした。 調査対象は、大学生をメインとしながらも、大学生の振り返りによる過去記憶を検証する目的、かつ各発達段階別のタッチ表現の変化を考察する目的で、幼稚園児から高校生までを調査対象に含めた。中高生においては、親子ペア調査を行った。そのため、本調査は、各発達段階別の特徴を明らかにするという点においても価値があり、日韓の親子間非言語コミュニケーションの実態に関する文化的な比較データとしても意義がある。 調査方法としては、日本と韓国の幼稚園児保護者、小学校低学年保護者、小学校高学年保護者、中学校生徒とその保護者、高校生とその保護者、大学生などを対象に質問紙による調査を行った。現在、収集されたデータの分析と考察を重ねている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非言語コミュニケーション手段としてのタッチに関する質問紙調査を韓国と日本で実施し、分析と考察を重ねており、研究活動は概ね順調に進んでいる。幼稚園から小学校低学年、小学校高学年、中学校、高校という発達段階を考慮した大型調査分析が進行中であり、非言語行動とコミュニケーション距離の分析という当初の研究目的の基盤が概ね出来上がったといってよい。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、非言語コミュニケーション手段としてのタッチ性向に注目し、パーソナリティがタッチ性向に及ぼす影響について日本人と韓国人を対象に比較調査を行い、タッチ性向の高低の差をパーソナリティによって説明しようとする。 パーソナリティがタッチ性向に及ぼす影響については、幼少期のタッチ経験や文化間相違、親和動機、性別などともかかわりがあると考える。そこで、これらの要因の影響をも考慮しつつ、特に親子間や友人間のタッチに注目し、その部位ならびに程度を調べ、日本人と韓国人のタッチ性向の相違を明らかにしようとする。パーソナリティとタッチ性向に関する日韓両国における大型調査分析から得られた知見を、積極的に国内外の学会で報告する計画である。 今後は、今までの質問紙調査の分析を深めながら、それらの分析から得られた知見を元に、マネキンを用いた実験的な方法で、パーソナリティとタッチによる感情表現との関連についても考察していきたい。つまり、感情表現はどのようなタッチで表現され、その表現方法はパーソナリティとどのように関連しているのかを明らかにしようとする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
パーソナリティとタッチ性向に関する調査分析の結果を国内外の学会で積極的に報告する計画である。その一方で、マネキンを用いた感情表現の観察実験を企画している。この実験は、日本と韓国の両国での実施を予定しているため、研究費の多くを実験参加者への謝礼と旅費に充てることにする。
|