本研究は、英語発音教育の現状を教職課程および現職教員研修の二つの側面から分析し、改善についての提言を行う事を目的とした。コミュニケーション重視の英語教育が展開されつつある現在においても、学校教育現場では音声を媒体としたコミュニケーションが、依然として軽く扱われてきた。その要因として、教員自身が教職課程在籍時や現職教員研修受講時に得た英語音声に関する知識・発音能力・指導経験が、十分ではないということが考えられる。そこで、本研究では教職課程に関連するカリキュラムやシラバスを調査することにより、教員養成の問題点を探った。教員研修については、質問紙調査および発音能力調査を行い、現職教員に必要な英語音声に関する要素も探った。また、小学校における外国語活動も視野に入れ、小中高の教員を対象とし、教職課程と教員研修を重層的に検討することで、英語発音教育の改善についての提言を行う事が、本科研の主な目的であった。 小中高の各学校教育において「英語音声指導」を適切に扱えるカリキュラム、モデルプログラムを提言することであった。 1)将来、教員となる学生の為に、中学校・高等学校の英語教職課程の実態調査と科目内容の分析を行い、効果的な発音指導を実現する為のプログラムを提言した。 2)小学校・中学校・高等学校における現職教員の英語音声指導に対する意識調査と同時に、発音能力調査を行い、優先的に改善すべき発音項目を精選し、それらを反映した発音矯正指導プログラムを開発した。 完成した2つのプログラムは、1)は大学の授業で実践し、2)は公開で研修会を開催し普及に努めた。 研究成果は、学会での研究発表、研究論文・研究ノート、および教員を対象とした研修会の開催、そして報告書を出版し無償配付している。
|