研究課題/領域番号 |
23520730
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
角山 照彦 広島国際大学, 看護学部, 教授 (00300418)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | eラーニング / パブリックドメイン映画 / 習熟度別教育 |
研究概要 |
本研究は、映画の同一場面を素材とした難易度の異なる3レベルのeラーニング対応型英語学習教材を開発し、現在多くの大学にて実施されている習熟度別教育やリメディアル教育の効果を上げることを目的としている。開発教材は、動機付けに非常に効果的であるとされる映画を活用し、習熟度・動機付けに大きな差がある大学生の基本的英語運用能力の向上を目指したものであり、著作権法上の制約が少ないパブリックドメイン映画を使用したeラーニング対応型教材とすることで、教室内の学習のみならず教室外での自発的学習に資するものとする予定である。 初年度となる平成23年度には、まず勤務校の学生の英語運用能力の実態を調査し、それに対応した習熟度別教材を十分検討し、3レベルに分かれたコースウェアの大枠を完成させた。続いて、主要コンテンツとなるパブリックドメイン映画の場面選定を行い、専門業者と綿密な協議を重ねながら学習用映画DVDの他、映画英語シャドーイング、映画英語リピーティングといった学習用コンテンツを制作した。その後、選定場面を活用したレベル別の教材開発に着手したが、今年度は中位層の学習者向けとなるスタンダード版の開発を進め、学習者に試用しフィードバックを受けながら改良を加えていった。スタンダード版についてはテキストベースの教材は完成し、eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植もほぼ終了したため、開発教材を試行しながら、学習者の動機付け・英語運用能力向上への効果について、質問紙法および共通テストにより測定・評価すると共に、プログラムに必要な修正を行った。 以上の研究成果に基づき、平成24年度は上位層・下位層向けの教材開発計画を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度となる23年度においては、研究計画として挙げた4項目((1)コースウェアの大枠決定、(2)パブリックドメイン映画の素材研究および教材開発、(3)eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植、(4)開発教材の試行および評価)のうち、開発教材の基盤作りとなる(1)と(2)の2項目に従事した。 (1)については、研究代表者の勤務校の大学生を対象とした共通英語能力テストおよび質問紙法により、学生のニーズおよびレベルの把握を行い、A~Cの3レベルに分かれた習熟度別教育用教材に必要とされるレベル・到達目標についてまとめると共に、すでに開発されている習熟度別大学用英語教材の調査を行い、シラバス・デザインや必須項目、演習方法等について評価を加えた。そして、前述の検討結果と比較しながら、必須項目となる指導項目やレベルを選定し、開発予定のコースウェアの大枠を完成させ、ほぼ予定通り終了した。 (2)の教材開発については、活用する場面選定を完了させ、上級レベル、中級レベル、初級レベルの3レベルに対応した教材のうち、標準モデルとなる中級レベルの教材開発に着手し、テキストベースの教材はほぼ完成した。また、eラーニングコンテンツについても基本コンテンツの作成を完了し、追加コンテンツの準備を進めているところである。その他にも、パブリックドメイン映画の販売、著作権許諾業務を行う専門業者と協議の上、映画のマスターフィルムを入手し、チャプター割りや字幕を開発教材に合わせた学習用映画DVD(補助教材)の制作も完了するなど、研究は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる24年度においては、研究計画として挙げた4項目((1)コースウェアの大枠決定、(2)パブリックドメイン映画の素材研究および教材開発、(3)eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植、(4)開発教材の試行および評価)のうち、(2)および(3)に従事するが、特に、3種類のレベル別教材のうち、上級レベルおよび初級レベルの教材開発を中心に進めてゆく予定である。特に、開発教材については、対面授業とeラーニングのブレンディット・ラーニングを実践できるように、テキスト版もレベルにあわせて3種類製作する予定である。また、eラーニングでの自主学習を促進するため、eラーニング独自のコンテンツも必要に応じて製作する。 すでに開発が進んでいる中級レベルに当たるスタンダード版については、eラーニングシステムを学習者への試用しながら教材の評価を進めてゆきたい。また、上級レベル、初級レベルについてはテキスト版の教材までは24年度内に完成させてゆく計画であり、順調に進むようであればeラーニング用プログラムへのコンテンツ移植まで完成させたい。 eラーニングに使用するプログラムとしては、Moodleをはじめとするオープンソースのコース管理システム(CMS)を念頭においており、現在すでにMoodleを使って一部運用を始めているが、機能、操作性等、様々な観点からさらに詳細な検討を加え、最適なプログラムを選定する予定である。サーバーについても、当初既存のMoodle用サーバーを使用する予定としていたが、学習者が自宅から自由にアクセスできる環境を優先し、別途サーバーを構築することも視野に入れてさらに検討を進めてゆくつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費はない。
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