研究課題/領域番号 |
23520730
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
角山 照彦 広島国際大学, 看護学部, 教授 (00300418)
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キーワード | eラーニング / パブリックドメイン映画 / 習熟度別教育 |
研究概要 |
本研究は、映画の同一場面を素材とした難易度の異なる3レベルのeラーニング対応型英語学習教材を開発し、現在多くの大学にて実施されている習熟度別教育やリメディアル教育の効果を上げることを目的としている。開発教材は、動機付けに非常に効果的であるとされる映画を活用し、習熟度・動機付けに大きな差がある大学生の基本的英語運用能力の向上を目指したものであり、著作権法上の制約が少ないパブリックドメイン映画を使用したeラーニング対応型教材とすることで、教室内の学習のみならず教室外での自発的学習に資するものとなっている。 2年目となる平成24年度には、まず前年度完成済みである本教材の標準モデルとなる中位層向け教材(スタンダード版)について、テキスト版、eラーニング版の両方について第一次評価を実施し、その結果、リスニング能力向上および情意面の両面において有意な効果が観察された。また、eラーニングの運用形態についても調査を実施し、開発教材を自主学習用としてのみ活用させるのではなくブレンディッドラーニングの形態で進めることがeラーニングの学習効果をさらに向上させることにつながる点が確かめられた。 続いて、新たに下位層および上位層向け教材の開発を進めたが、スタンダード版と同様に、開発教材を試行しながら、学習者の動機付け、および英語運用能力向上への効果について、それぞれ質問紙法、共通テストにより測定・評価を行った。また、eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植も同時に進めていき、学習者に試用しフィードバックを受けながら改良を加えていった。 以上の研究成果に基づき、最終年度となる平成25年度は開発教材の試行および第二次評価を進め、本研究を完了させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目となる平成24年度においては、研究計画として挙げた4項目(①コースウェアの大枠決定、②パブリックドメイン映画の素材研究および教材開発、③eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植、④開発教材の試行および評価)のうち、開発教材の中核部分となる項目②の後半部分および項目③に従事し、前年度開発済みの教材については項目④のうち第一次評価を先行して実施した。 ②の教材開発については、前年度完成させた標準モデルとなる中位層向け教材(スタンダード版)に加え、上位層および下位層向けの教材を開発し、基本コンテンツについては3レベルともほぼ終了し、当初の目標をほぼ達成した。特に、上位層向け教材については、中位層向け教材と同一映画場面を活用しながら難易度を高めた教材の他、別の映画場面を活用した同様の教材開発に着手するなど、当初の計画以上に進めることができた。 ③のコンテンツ移植については、基本コンテンツについてはすべて終了したが、学習者が自宅から自由にアクセスできる環境を優先して既存の学内サーバーから学外のサーバーへ移行を行ったため、移植作業に多少の遅れが生じ、eラーニング専用の追加コンテンツについては現在移植のための準備を進めている段階である。 移植済みのコンテンツについては、学習者への試用を行い、フィードバックを受けながら、仕様の改良等を行っているところであり、また、前年度開発済みの教材については第一次評価を先行実施するなど、当初の研究計画以上に進行している。そのため、上述の追加コンテンツ移植の若干の遅れを考慮しても、研究は概ね順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度においては、研究計画として挙げた4項目(①コースウェアの大枠決定、②パブリックドメイン映画の素材研究および教材開発、③eラーニング用プログラムへのコンテンツ移植、④開発教材の試行および評価)のうち、まず項目③の未完成部分を早急に完成させ、続いて項目④に着手する。そして、項目④を完了させることで本研究の目的を達成させる予定である。 項目③の未完成部分については、追加コンテンツ自体はすでにほぼ完成しており、eラーニング用プログラムへの移植が中心となるため、遂行に当たって大きな問題が生じることはないと考えられる。項目④については、すでに先行実施した第一次評価をもとに改良を加えた教材について第二次評価を実施し、そこで得られた研究成果を関連学会にて発表する予定である。 また、今回3レベルの習熟度別に分けられたメイン教材の他に、最上級レベルとして新たに別作品を活用した教材も開発したが、この追加教材についてもメイン教材と同様に試用および評価を実施してゆく必要がある。英語教材として活用可能なパブリックドメイン映画は数多く存在すると考えられるが、シナリオ集の範疇に留まらない本格的な映画英語教材は未だ非常に限られているのが現状である。こうした教材開発を進め、習熟度別教材のラインナップを充実させてゆくことが今後の本研究の推進方策として重要だと言える。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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