研究実績の概要 |
本研究は「浅く速い呼吸リズムが英語の聴解と解読に及ぼす影響」と題し「呼吸機能に負荷がかかる姿勢で浅く速い呼吸をする英語学習者は,深く長い呼吸リズムを前提に表現される英語の聞き取りと読み取りが正しく行えない」という仮説の検証を目的とした。 平成23年度には、実験協力学生12名に予備実験を行い、円背姿勢で浅く速い呼吸をする被験者に、英文を細かく区切る「返り読み」の傾向が観察された。平成24年度には、実験協力学生14名に、呼吸機能とTOEICスコアの関連性を調査した。TOEIC上位グループは、英語聴解時にモデル音声の突然のリズム変化に反応するため呼吸感覚を小刻みに保つ呼吸機能を有していることが観察された。平成25年度には、函館高専3年生120名に対し、音読調査と呼吸圧実験を行った。学生には呼吸機能の違いが存在するが、呼吸機能と英語の音読速度には相関がないことが判明した。次に、浅く速い呼吸リズムを有する4名の実験協力学生に、深く長い呼吸リズムを獲得させるためのヨガと呼吸マスクを用いた呼吸トレーニング実験を行った。呼吸トレーニングは最大呼気流速度の向上に影響し、呼吸機能が向上した学生は、英語聴解においてモデル音声の音読リズム変化に対応できる呼吸リズムが観察された。更に、英語の授業中に実践できる、学生の姿勢改善と腹式呼吸を目的とする呼吸トレーニングを開発した。平成26年度までに、これまでの研究成果を国内外で7件発表し、多くの研究者と情報交換を行った。
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