研究課題/領域番号 |
23520743
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
MAHONEY Sean 福島大学, 行政政策学類, 助教 (50292454)
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研究分担者 |
猪井 新一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80254887)
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キーワード | 外国語活動 / 小中連携 / ALT / 英語教育 / 早期外国語教育 / FLA |
研究概要 |
研究課題の予備調査作成について、小・中学校の教員及びALTの17人をインタービューした。その結果と今までの研究を反映し、5種類の予備調査を実施した。最初予備調査の対象者は福島県と新潟県の公立小学校担任の教員、小学校のALT,中学校英語教師、および、中学校のALTというグループである。しかし、小学校の回答者(37人)の中でEAA(英語を母語としない外国語活動協力員)は1人であったため、もう一つのEAA専用アンケートの作成後、新たに2人のEAA協力を得た。上記予備調査の81人からの貴重なコメントやデータを分析して、9月末に福島大学が主催した「平成24年度の免許状更新講習」で「小学校外国語活動と中学校英語の連携:研究と実践」という集中講義にも取り込んだ。また、2013年2月に国際大学が主催した中・高校英語教育能力開発ワークショップでもこの情報を生かした。 さらに、地元の小学校でボランティアとして外国語活動の41時間を教えた。外国語活動の実態の把握ができ、この実戦的な経験は研究課題に対する貴重なフィードバックになった。 上記の点は、全国調査の最終版を作成する際に大いに参考となった。2013年1月に「全国学校総覧」を利用し、まず、自ら無作為に各都道府県から小中学校を5校ずつ抽出した。さらに、研究助手(学生)に同総覧に掲載されている残りの学校から、人口比に考慮しつつ無作為に小中学校を選んでもらった。その結果、全体で小学校2000校と中学校1000校を調査した。今回の対象者は、各学校の小学校5・6年生の担任(2人分)、小学校ALT(1人分),中学校英語教師(2人分)、および、中学校のALT(1人分)である。回答者の2873人の内訳は小学校教員1802人、小学校ALT387人、中学校教員515人、中学校ALT169人である。研究実施計画とおりに平成25年度に分析を学会で発表し、論文化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の特徴は、調査の対象者が小中学校の日本人教員ばかりでなく、ALTも扱っていることである。 上記の4グループ回答者数をみると、中学校ALT以外のいずれの回収率が38%から52%であり、調査は、成功だと考える。しかも半数であったJETプログラム参加者ではない小・中学校ALTは雇用契約が調査実施前の12月末で終わるにも関わらず、この回収率は研究者が期待した以上である。なお、中学校ALTとは直接関係ない「外国語活動に関する調査」への回収率が比較的に低い(約17%)のは仕方がないと考える。EAA専用アンケート自体は作成済みであるが、その実施には市町村の数多くの教育委員会からの協力が必要であるため、既に実施した4種類のアンケートの分析を優先する予定である。 作年度の実施状況報告書で指摘した「研究を遂行する上での課題」を二つ共クリアした。一つ目は「小学校教師に対する外国語活動に関する満足度や成功率の調査について調査方法の修正」という課題であるが、「回答者が国の教育方針を批判する立場ではない場合は、なるべく間接的な質問が望ましい」とのことであったため、調査の最終版では質問を「今年度、外国語活動の目標はどの程度達成されたと思いますか」に変更し、回答者に1から10というスケールに○をつけてもらうことにした。この表現により、重要な独立変数の質問に回答しなかった小学校教員はわずかの2.7%であった。 二つ目の課題は東日本大震災の影響により研究活動に支障が生じたため、研究計画の一部が遅れていた。幸い、今年度はその遅れを完全に取り戻した。 小学校教員2人に返信用封筒1枚にしたが、ALTのプライバシーを配慮した結果、別な小学校のみのALT専用返信用封筒(1枚)を用いた。これで料金後納も調査の印刷に関する料金も企画した費用よりも高かったが、研究代表者の研究専念期間のための研究専念者特別費で間に合わせた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画とおりに進めたいと考えている。定量分析は完了したので、次は調査の自由記述データの分析(定性分析)をIBM・SPSS Data Analytics for Surveysで行う予定である。2013年5月25日に新潟県立大学主催の「第5回北東アジア言語教育学会」で発表することが決定している。7月の「全国小学校英語教育学会」への発表申し込み(研究代表者・分担者共)をした。さらに、8月の「全国英語教育学会」と、10月の韓国での「21st Korea TESOL International Conference」にも発表を申し込む予定である。 予備調査の結果に関する学術論文は既に2本書き終えたが、発行の詳細が未定である。これから全国調査のデータに基づく報告書及び論文を書く予定である。 次年度に使用する予定の研究費は計画通り、学会(旅費)と報告書・論文以外に、研究課題に関する資料、研究助手、調査結果に関するホームページの作成と、小中学校の学習・指導の一致性をテーマにしたシンポジウムを開催費に充てる。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額は学会(旅費)と報告書・論文以外に、研究課題に関する資料、研究助手、調査結果に関するホームページの作成と、小中学校の学習・指導の一致性をテーマにしたシンポジウムを開催費に充てる。
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