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2011 年度 実施状況報告書

英語の前置詞の棲み分け研究と高大連携に基づく自学自習用教材の作成

研究課題

研究課題/領域番号 23520745
研究機関信州大学

研究代表者

花崎 一夫  信州大学, 全学教育機構, 准教授 (40319009)

研究分担者 花崎 美紀  信州大学, 人文学部, 准教授 (80345727)
加藤 鉱三  信州大学, 高等教育研究センター, 教授 (20169501)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード前置詞 / 高大連携 / 認知言語学 / 英語教育
研究概要

我々は、本研究に取り組む以前は、前置詞の多義を従来の意味論でしばしば行われるように、semasiologicalな視点で研究してきた。しかし、その一連の研究で、従来のメタファー・メトニミーによって意味拡張を説明しようとする理論は、(1)意味が際限なく広がることを阻止することはできず、(2)新しい意味の予測が不可能であることがわかった。そこで、意味拡張は、複数の可能性が緊張関係の中に存在した後、それぞれの語の弁別的意味要素により取捨選択されることを通して行われるという見解、つまり、pragmatic strengtheningを中心とした行為理論によって意味「用法」の拡張の可能性を探り、さらに、onomasiologicalな視点(例:果実を表す語にはfruit, nutなどがあるする視点)にたち、近似義語の中心義が意味拡張を制限するという立場をとれば、上述の問題は解決されることに気がついた。さらに、その緊張関係の中で、意味拡張の可能性を阻止されたものは、慣用表現としてのみ存在しうるということがわかり、この考えのもとに前置詞の棲み分け研究を行い、一定の成果をあげてきた。  具体的には23年度の研究においては、英語前置詞の研究と、それに基づく教材の作成を行なった。教材の作成においては、取り扱う範囲を前置詞だけに限定するのではなく、たとえば、認知言語学における基本概念である、「放射状カテゴリー」という考え方を援用し、英語の動詞の多義性について扱った教材も作成した。そして作成した教材を、授業の補助教材として活用し、学生の英語力の向上に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、認知言語学の知見を援用し、大学生の自学自習用教材を作成し、それを実際の英語教育の現場で活用するというものであるが、当初計画で示した前置詞に関する研究やそれに関連した教材の作成、およびその活用が実行できているため、「おおむね順調に進展している」と考えられる。

今後の研究の推進方策

第1段階としてsemasiologicalな研究を行い、高大連携から得られる間違いやすい前置詞を参考にしながら、1語の現代英語における用法を整理しそこから仮の意味ネットワークを作成しそれを古い英語における用法を整理して補強する。第2段階として、onomasiologicalな研究を行い、関連する語を、孤立用法・慣用表現を元に検証し、対象前置詞の棲み分けを明らかにする。対象前置詞は、すべての前置詞を扱うことを目標とするが、24年度は、for, beside, in front ofについての研究をすすめ、教材の作成を行うこととする。

次年度の研究費の使用計画

23年度、当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、60万円ほどの残額が生じた。これは当初予定していた海外での調査などを、研究の進捗状況をを考慮し、24年度に実施するように計画を変更したため、支出を延期したことが主な原因である。そこで24年度は、海外での調査・発表などを行い、それらを中心に予算を使用することで、適正に予算を消化することに努めたい。その他にも、必要な文献等の購入については、必要があるたびに随時行う予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 認知言語学の知見を生かした英語教育の実践に向けて2012

    • 著者名/発表者名
      花崎 一夫
    • 雑誌名

      信州大学人文科学研究

      巻: 第6号 ページ: 87-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Forの意味論再考2012

    • 著者名/発表者名
      花崎美紀・花崎一夫
    • 雑誌名

      『人文紀要文科学論集(文化コミュニケーション学科編)』

      巻: 46 ページ: 85-108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 相同性という視点からみる、日米の出産と育児の実際2012

    • 著者名/発表者名
      花崎美紀
    • 雑誌名

      桐の木助産師学会会報

      巻: 22 ページ: 79-84

  • [雑誌論文] 機械翻訳精度向上をめざした接続詞asの用法記述2012

    • 著者名/発表者名
      加藤鉱三
    • 雑誌名

      JELS 29

      巻: 29号 ページ: 66-72

    • 査読あり
  • [学会発表] 機械翻訳精度向上をめざした接続詞asの用法記述2011

    • 著者名/発表者名
      加藤鉱三
    • 学会等名
      日本英語学会 , 日本英語学会第29回大会
    • 発表場所
      新潟大学
    • 年月日
      2011年11月13日
  • [学会発表] カラにならないfrom, fromにならないカラ2011

    • 著者名/発表者名
      加藤鉱三
    • 学会等名
      日本英文学会中部支部 , 日本英文学会中部支部第63回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2011年10月29日
  • [学会発表] 相同性という視点からみる、日米の出産と育児の実際2011

    • 著者名/発表者名
      花崎美紀
    • 学会等名
      桐の木助産師学会(招待講演)
    • 発表場所
      信州大学医学部
    • 年月日
      2011年9月3日
  • [図書] 自習用教材作成・高大連携・相同性研究に生かす、慣用句を鍵に行う前置詞棲み分け研究2012

    • 著者名/発表者名
      花崎美紀
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      ブイツーソリューション

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公開日: 2013-07-10  

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