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2012 年度 実施状況報告書

人工的日英バイリンガル養育児における英語疑問文と関係詞構文習得の縦断的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520751
研究機関大分大学

研究代表者

御手洗 靖  大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (80229731)

キーワードバイリンガル / 言語習得 / 日英
研究概要

人工的日英バイリンガル養育を受けた女児の分析可能なデータを対象に,10歳までの関係代名詞を含む発話を分析した。その結果,usage-basedモデルに基づく先行研究(Diesel & Tomasello, 2000)と同様な特徴として,初期の発話には「提示型」(This/It is X +関係詞節)の情報構造の文が多かった。
先行研究と異なる特徴として,目的格の発話が先行して,主格の発話が続いたことがあげられる。これは,インプット提供者である父親が目的格を多用したことが原因であると考えられる。また,初期に現れるとされる,文ではない関係詞節のみの発話は,少数しか見られなかった。これも父親が発話に完全文を多用したことが原因と考えられる。
9歳以前では,主格,目的格ともに誤りが多く見られた。主格では,埋め込み文中の主語を残す誤り,および,関係詞の脱落が多く見られた。目的格では,埋め込み文中の目的語を残す誤り,先行詞を含む関係代名詞であるwhatの脱落が多く見られた。
これらに共通する方略として,単に2つの節(文)を並列して関係詞でつなぐことがあげられる。本来,正しい英文であれば,目的格であれば,目的語が関係詞となって埋め込み文の先頭に移動するために,その目的語の位置は空白になる。主格も同様に主語の位置に空白ができる。しかし,対象児の場合にそれが見られない場合があるということは,これらの関係詞節の性質の習得途上にあると考えられる。目的語の残留の誤りは,使用頻度の低い動詞を使った埋め込み文で見られる傾向があった。これは,正しい発話は,創造的なものではなく,インプットで耳にした文の「再生」であることを示唆している。
誤りは9歳以降になると少なくなったことから,関係詞節の性質を理解しつつあるように思われる。しかし,前置詞で終わるはずの埋め込み文でそれが脱落する,といった誤りは残っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

録音データから,該当の発話を探す作業をおこなう研究補助者の雇用数が不足している。
時間給が低賃金であるために,英語を聞くというストレスの高い作業をおこなう能力と根気のある者を探すことが,昨年度よりは確保できたものの,やや困難であった。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究により,関係詞節発話の方略とそれにともなう誤りの傾向が見えてきた。ただし,録音データすべての書き起こしが完了しているわけではないので,残りのデータの書きおこしを進め,分析対象となる発話数を増やし,さらに精度をあげた分析をおこなう。そのために,研究補助者の人数を増やすことにより,それを進める。
また,最新の文献も確保して新たな視点からの分析が可能か模索する。

次年度の研究費の使用計画

録音データを整理する補助者を積極的に雇用するために,主に謝金に使用する。
昨年度研究費に残額が生じた理由は,録音データを整理する研究補助者の雇用数が当初の予定よりも少なかったためである。この残額は,研究補助者の雇用に使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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