研究概要 |
25年は発表者としてコンピュータサイエンス学部の教員の協力を得、被験者(大学院生)に、2つの対照的な発表スタイルを見せ、被験者の内容の理解度と受け止め方を表すデータを収集・分析し、最もわかりやすく、楽しいと思えるスタイルを考察した。Aモード(被験者18名)は、一般的な発表方法で、体の向きが聴衆に対して141.6度、スライドに記載された以外の単語(XTRAN)の割合が180%である。Bモード(被験者17名)は、体の向きが聴衆に対して92度、XTRANの割合が36.6%である。 それぞれのモードでの発表の後、聴衆役の被験者に対して、内容理解テストを実施した。10点満点中、Aモードの平均点は6.94点、Bモードは6.17点であった。Aモードに発表者の学生一名がいたため、その学生を除外すると、Aモードの平均点は6.76点になり、得点差は.59点(5.9%)であり、統計的有意差には達してない (F(1,32)=1.127, p=.296)。被験者のTOEICスコアと結果には相関があり(r=.34)、また国際学会での英語のポスター発表の回数と、結果スコアにも弱い相関があった(r=.30)。発表を聞き取るだけの英語力のある院生は、積極的に国際学会に参加し発表をすることを示唆する。発表スタイルの印象を尋ねる質問(四段階リッカート尺度)では、Aモードの聴衆の方が、発表をより理解しやすく(有意差なし)、楽しかったと答えた(F(1,32)=6.24, p<.05)。 結論として、発表スタイルの違いによる理解度の違いはほとんど見られず、スライドを読み上げるようなBモードの発表と、補足説明をしながら発表するAモードとは同程度の理解が聴衆から得られることは、英語非母語話者の理系研究者には朗報であるが、一方聴衆の印象はAモードの方が好意的であることは特筆すべき点である。
|