研究課題
本年度の研究では、音読とシャドーイングを重視した指導がスピーキングのパフォーマンスにどのような影響をもたらすかを探ることを目的とした。飯野・籔田(2013)の研究から、音読とスピーキングには有意な相関は無く、シャドーイングとスピーキングのパフォーマンス間には高い相関関係があることがわかっている。この関係に基づいて、音読とシャドーイングを長期的に指導に取り入れることによって、スピーキング力の向上に一定量の貢献をするのではないかという実践的仮説を検証した。方法は、非英語専攻の大学3年生を対象として、(1)音読+シャドーイング重点指導群、(2)リスニング重点指導群の2群として処遇差を設け、長期的な指導によるスピーキングパフォーマンスへの効果を検証した。両群共に意見交換や絵描写課題を同量盛り込んだ。指導の事前・事後テストとして、英検2級2次試験の過去出題問題の絵を利用した絵描写課題を実施した。研究者が、録音データを2つの観点に基づいて5段階で評価した(1つ目:内容、2つ目:語彙・文法)。指導期間は5月~12月で、授業の最初の30分程度をあてた(長期休暇を除く、週1回ペースの授業18回)。結果として、両群ともに絵描写課題の評価は上昇を示した(統計的有意差有、効果量中)。とりわけ、音読+シャドーイング群では評価観点の一つである語彙・文法において伸びが著しかった(効果量大)。一方、リスニング群で指導前後の有意差は無く、効果量も小さかった。以上の結果から、音読・シャドーイングの指導を継続的に行うことにより、メッセージ内容の充実に加えて語彙の複雑さと文法的な正確さに貢献する可能性が示唆された。
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中部地区英語教育学会紀要
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法政大学多摩論集
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清泉女学院短期大学紀要
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