研究課題/領域番号 |
23520762
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鈴木 健 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (40226527)
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キーワード | クリティカル・シンキング / レトリック / ディベート / コミュニケーション / リーダーシップ / 政策決定論 |
研究概要 |
(1)第1章「問題解決とコミュニケーション」、第2章「リーダーシップとコミュニケーション」(編)鈴木健、他『問題解決のコミュニケーション―学際的アプローチ』白桃書房、2012年10月26日、pp. 1-22, 23-43。第1章では、ディベートの理論を用いて、問題解決型、利益追求型、ゴール至上命令型の問題解決の手法を説明した。第2章では、変革型リーダーシップ理論を中心にして、リーダーシップを学ぶ方法を解説した。 (2)2012年8月2-4日の日本ディベート協会主催、第4回国際議論学会議(於、上智短期大学部)において、東日本大震災時に発生した福島第一原発事故をThomas FarrellとG. Thomas Goodnightの提唱したルートメタファー分析を用いて、どのようなメディア報道がなされたかを分析した。 (3)2012年10月中旬に政治コミュニケーション論の大家であるThomas Hollihan教授(南カリフォルニア大学)を10日間招聘して、共同研究を行った。 (4)2012年11月15-18日に開催された全米コミュニケーション学会(於、アメリカ合衆国フロリダ州)の日本USコミュニケーション学会(JUCA)分科会セッションに参加して、日米の政治コミュニケーションの比較に関する発表を行った。特に、東日本大震災後の日本の政治家の対応を題材に、問題先送りや決断力のなさ、なんでも「想定外」で処理しようとして、危機管理に向き合わない点が議論された。 (5)2013年3月7-10日に国立高雄師範大学のLin-Lee Lee教授を訪問して、台湾におけるコミュニケーション教育と英語教育の実体に関して聞き取り調査を行った。日本以上にダイレクトメソッドが用いられていることが分かった。また、研究代表者による日本のアニメ「ベルサイユのばら」を題材とした物語論分析の英語での実験授業が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)1年目にFrans van Eemeren(アムステルダム大学)、2年目にThomas Hollihan(南カリフォルニア大学)を招聘して、それぞれ欧州とアメリカにおける議論学研究の最先端理論を学ぶことができた。 (2)1年目にPhilosophy & Rhetoric、2年目にWorld Future Reviewのバックナンバーを購入して、「説得の技法としてのレトリック」(rhetoric as the art of persuasion)と「政策決定論」(decision-making science)に関する基礎資料が整いつつある。 (3)1年目に『コミュニケーション・スタディーズ入門』、2年目に『問題解決のコミュニケ―ション』と順調に業績を社会に還元できている。 (4)1年目から2年連続で全米コミュニケーション学会に於いて研究発表ができており、現地でアメリカのコミュニケーション学者とのコンタクトも順調に取れている。特に、Thomas Hollihan教授とは、日中の領土問題をめぐる論争の分析の共同プロジェクトを立ち上げることが決定した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)これまで欧米中心だったコミュニケーション研究のアジアにおける発展を知るために、国立高雄教育大学のLin-Lee Lee教授を2013年に招聘予定である。 (2)これまで欧米人中心だったコミュニケーション研究の日本人による発展の可能性を考察するために、メンフィス大学の松田由貴准教授を2013年に招聘予定である。 (3)2013年度8月にアルタ議論学会において、議論と啓蒙の関係に関する日米比較の発表をG. Thomas Goodnight教授(南カリフォルニア大学)と行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)資料整理用のデスクトップコンピュータを購入予定。 (2)国立高雄師範大学のLin-Lee Lee教授を台湾より招聘予定。 (3)メンフィス大学の松田由貴准教授をアメリカより招聘予定。 (4)アルタ議論学会に参加予定。 (5)報告書の作成予定。
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