研究課題/領域番号 |
23520765
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研究機関 | 北陸学院大学 |
研究代表者 |
米田 佐紀子 北陸学院大学, その他部局等, 教授 (70208768)
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研究分担者 |
物井 尚子(山賀尚子) 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70350527)
西村 洋一 北陸学院大学, その他部局等, 准教授 (70406809)
ヒューズ ジェイソン 北陸学院大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40601159)
細川 真衣 北陸学院大学, その他部局等, その他 (00598138)
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キーワード | 小中高大一貫英語教育 / CEFR / 国際的標準テストによる学力 / 自己評価 / 目標設定 / 動機付け / ポートフォリオ / Can Do |
研究概要 |
本研究の目的はポートフォリオを用いて目標設定をさせることで日本人英語学習に見通しを持たせられるか、また、英語力にどのように影響するか小学生~大学生を対象にポートフォリオとケンブリッジ英検による学力調査を用いて検証することである。 実績(成果・意義・重要性)は次の通りである。①調査参加者:2年間継続参加者が約1300名(全体約2000名)となり研究結果の信頼性が高まったと同時に追跡調査としての実績ができた。上位レベル高校(進学校)の参加により年齢相応のケンブリッジテストの実施ができた。高等学校でB1の英語力が期待できる事が示された。②外国語活動で培える力の把握:公立小学校での模試の実施により外国語活動で培える英語力のデータを得ることができた。③ポートフォリオの改定:(1)Can Doだけでなく自己の学習経験や異文化体験なども記録できるようにした。これにより学習者がスキルだけでなく学習方法や経験などの角度から自己省察できるようになった。(2)小学生の学習内容に当たるPre-A1のCan Doを3レベルに分けた事により小学生の調査がより詳細に出来るようになった。有効性を確かめるため、教科書のユニットごとに使用できるものを作成し検証した。④学会との共催による講演会および外部シンポジウムでの発表等:Can Doは高校での認知が広がってきているもののまだ小中学校では低く、ポートフォリオはさらに認知度が低いことが見えた。 年齢要因と学力要因に関する調査では、両者間に正しい自己評価と関連があるが、学力要因の方がその関連が強いという実証的知見を得た。学力で言えばA2がその閾値となる傾向があることをつかんだ。この事は小学校から大学までの一貫した英語教育の推進に一つの教育的示唆を与える。ポートフォリオの使用状況について頻度や教師の介入等が有効性の一因であることが見え本研究遂行上今後の示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ポートフォリオを用いて目標設定をさせることで日本人英語学習に見通しを持たせられるか、また、英語力にどのように影響するか小学生~大学生を対象にポートフォリオと、ケンブリッジ英検による学力調査を用いて検証することである。 ポートフォリオの中にあるCan Doによる自己評価と学力調査に関する研究では、年齢要因と学力要因ともに正しい自己評価と関連があるが、学力要因の方がその関連が強いという実証的知見を得た。さらに、学力で言えばA2がその閾値となる傾向があることをつかんだ。このことは小学校から大学までの一貫した英語教育の推進に一つの教育的示唆を与える。 一方、ポートフォリオを用いたことで学力や動機が上がるかという検証では、現在までの所グレーである。同一条件でも有意な伸びを示したグループとそうでないグループとがあった。調査を進める中で学力の伸びを測定することに加え、ポートフォリオの使用実態や使い勝手などの研究の必要性が見えてきた。調査によれば使用する意義に対する認識が低く、有益感も低いという結果が見られた。自由記述のアンケートからは「Can Doと現在の学習とのつながりが見えない」、「もっと頻繁に使用すべき」、「半年に一回では忘れる」などの理由が多数見られた。一方で、「自分の英語力が分かる」「弱点が分かる」「世界のレベルが分かる」「やる気になる」といった本来の目的を理解している意見もあった。日本人学習者にとって目標付けとしての役割を果たすポートフォリオの作成とそれによる学力向上を図るという点でこれまでのデータ収集及び検証は重要な示唆が得られた。 以上から、本来の計画通りに進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年度は平成23年度・24年度で得られた成果と課題をまとめると共に、ポートフォリオの使用頻度や教師の介入などの観点からも検証していく。また、これまではクラスごとの検証を行ってきたが今年度は個人ごとに頻度と学力向上・動機の変化が見られるかを検証する。アンケート調査項目が2年目で変更となったことを踏まえ、2年目まででデータの収集を終える予定であったが今年度も継続する。 研究結果の公表や研究内容についての理解を求める活動として、協力校へのフィードバックと平成23・24年度のデータの検証結果に関して学会発表を行う。最終的には科研報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費としては120万円での実施となる。科研報告書の作成および国内外での学会発表の旅費も計上し次のように実施する計画である。 分担金:6万x2名=12万、物品費:0万円、旅費:20万円、謝金:40万円、その他(模試・アンケート印刷費・報告書他):48万円
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