2010年から人工内耳装用児者に対する英語教育が実施された。この研究の目標は、1)人工内耳を装用した中高生を対象とし、ヴェルボトナル法に基づいた英語授業をスカイプにより実施すること 2)ホームステイによる英語研修を実施すること 3) シドニー在住の人工内耳装用児者と交流し、継続的な英語での交流がスカイプによって可能となるように環境を整えることであった。 第一段階(2011年5月~2012年6月)は教師対生徒のアプローチで、遠隔英語授業の習慣化と上昇ピッチの訓練が行われた。第二段階(2012年7月~2013年8月)はシドニーでの生活体験で、現地の人工内耳装用児・者の方々との交流により、参加者の英語学習に対する意欲が向上した。第三段階 (2012年7月~2013年8月)は教師対生徒のアプローチであるが、シドニーと日本を結ぶ英語教育が7歳で人工内耳の手術を受けた高校生のMさんと66歳で人工内耳の手術をシドニーで受けたSさんとの間で開始され、第四段階への準備が周到にされた。第四段階(2013年9月~2014年3月)は友人対友人型のアプローチで、日本のM さんとシドニー在住の大学生で人工内耳装用者のCさんとの交流が開始された。英語を媒体としながら、自由に楽しく語り合う場がスカイプを通して実現された。 世界中の人工内耳装用児者が英語を媒体としながら、自由に語り合う場を創造するのが私たち研究グループの最終目標です。教師から生徒へという一方的な意思疎通パターンではなく、二人が自由に英語で好きな事を語り合うことが出来れば、自然と英語力は培われる。私たちの研究期間は2014年3月で完了したが、スカイプによって国際交流を継続するネットワークを構築していくのが今後の目標である。
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