研究課題/領域番号 |
23520769
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
植松 茂男 京都産業大学, 文化学部, 教授 (40288965)
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研究分担者 |
ヒューバート ラッセル 京都産業大学, 文化学部, 助教 (90411016)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 早期英語教育 / 小学校英語活動 / 臨界期 |
研究概要 |
本年度は、調査協力校との関係作りから始まり、1学期から2学期の間、何度か該当の小中学校を訪問し、先生方と協議をしたり、普段の授業を見せていただいたりするところから準備を始めた。調査協力校のご協力がなければこの研究そのものが成り立たない。一応昨年度内諾はいただいているものの、先生方の転出転入もあり、よい関係維持が築けるか不安であった。これらのテストの実施には、生徒への説明や時間調整など相手方に大変な手間をかけることになる。さらにスピーキングテストを2年生 1クラス(約35名)を選んでお願いする。これら諸テストの実施日は、学年ごとに若干の日程のズレはあるが、学年末の2012年3月上旬を予定していたのだが、先生方のご協力のおかげで全て無事実施できた。現在テスト会社から返送されてきたデータを分析し始めたところである。また、今回思わぬ収穫があった。中学校を繰り返し訪問している間に、生徒の「生」の声を聞くチャンスが有り、その内容が大変興味深かったので1年生から3年生までを任意で10名程度選び、再度集まってもらって話を聞いた。それらは実際に小学校英語教育活動を受けてきた者の体験談であるので、数的データとは異なる肌温で感じる「経験談」である。これは面白いかもしれないと、校長や先生方に話し、その聞き取った内容も読んでいただいた。そうすると今度は先生方がそれに呼応するかたちで「ふりかえり」の文章を書いて下さった。小学校で彼らを教えた先生方も。そのために研究者と生徒や先生と「同じ目線の」関係、すなわちrapport(信頼関係)をどのように作り上げてゆくかが重要な課題であった平成23年度は調査研究のスタートとして、予想以上にうまく行ったと考えている。海外調査としては台湾を訪問、小中の授業参観と師範大学の先生と話し合った。また本研究のスキームをハワイの国際学会で発表し、多くの反応があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
調査研究は、上述の通り順調に進んでおり、さらに広がりを見せつつ発展中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究2年目にあたる。初年度の研究調査は、学年度末3月(平成24年)実施の諸テスト実施がほとんどを占めているため、これらのデータを回収し、チェックする作業に現在追われている。これからそれら平成23年度データの分析をし、発見成果を学会等の口頭発表や論文投稿を通じてできるだけ公表していきたい。さらに、研究協力校との関係維持・発展に努めるとともに、さらに他の研究者や実践者との交流も深めたい。この研究では従来の英語スキルを量的(計量的に)計るだけでなく、質的にも変化をみたいと考えているので、生徒・教員インタビューから得た知見を質的データと考え、英語スキルの推移を解釈する一助としたい。また、教員側のインタビューからかなり面白い感想が得られているので、それらを出来るだけ活字にして「現場の声」として伝えたい。成果公表として具体的には、大学英語教育学会や、日本児童英語教育学会などでの発表、並びに研究を論文としてまとめて投稿し、広く知られる機会を提供したい。また、小学校英語活動の今後を見据えるために是非とも必要なこととして、近隣アジア諸国に代表される「早期英語先進国」の現状と課題を、英語学習面と教員養成面からさらに深く調査したいと考えている。これら諸国へフィールド調査を実施し、学会で協力者の知見を広めたい。 また本年度は、必要に応じて方法論的、技術的な修正を加えながら調査を継続し、研究成果をまとめたい、この点に関しては発表等の機会で内外の研究者達の協力も積極的に仰ぐ。前年度と調査対象は同じ。但し調査対象学年のそれぞれの英語活動開始学年は前年度に比べて年次進行で下がってゆく。本年度は小学校1年開始が対象に加わる(中1のみ)。また前年度の作業の進捗状況を見た上で調査範囲を拡げる事もあり得る。研究分担者にはテスト・アンケート・インタビュー実施、発表等の補助をしていただく予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度には、研究に必要なパソコン及び関連統計ソフト(量的解析・質的解析)等はほぼ揃ったのであるが、機材のうち購入を予定していたマークカードリーダー(セコニック SR-430:@360)が予算不足で購入できず、仕方なく大学(テスト用)のものを使ったが、性別や氏名ふりがな等大事な情報が欠損した。難しいかもしれないが出来れば本年度購入し、調査内容の改善に備えたい。また、上記推進方策に挙げられた目標を完遂するために、出来るだけ国内発表の機会を確保すること、さらには国際学会(特に上記に挙げた早期英語教育実施国)にフィールド調査、学会発表を行う機会を確保したい。また、国内外のフィールド調査やインタビュー調査に必要な機材の購入も検討している。すぐ再生できる録画機能を持ったコンパクトな機材が必要であることが昨年度の調査でわかった。その他、年度末に行う学力テストや英語力インタビューにかかる費用は昨年度と同一と予定している。また、早期英語関連書籍に関しても鋭意、調べ上げて手早く入手したいと考えている。
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