研究課題/領域番号 |
23520769
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
植松 茂男 京都産業大学, 文化学部, 教授 (40288965)
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研究分担者 |
ヒューバート ラッセル 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (90411016)
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キーワード | 早期英語教育 |
研究概要 |
2012(平成24)年度は、昨年度と同じく調査協力校との関係作りから始まり、1学期から2学期の間、何度か該当の小中学校を訪問し、先生方と協議をしたり、新規に転入されてこられた先生方の授業を見せていただいたりするところから準備を始めた。調査協力校の善意と奉仕のご協力がなければこの研究そのものが成り立たないからである。2012年度も一応調査実施内諾はいただいていたものの、管理職の転出転入もあり、よい関係維持が築けるか不安であった。これらのテストの実施には、生徒への説明や時間調整など相手方に大変な手間をかけることになるからである。さらにスピーキングテストを2年生 1クラス(約35名)を選んでお願いする。これら諸テストの実施日は、学年ごとに若干の日程のズレはあるが、学年末の2013年3月上旬を予定していたが、学校長と英語科の先生方の善意のおかげで全て無事実施できた。現在テスト会社から返送されてきたデータを分析し始めたところである。 また、昨年度から中学校を繰り返し訪問している間に、「ききとり」により生徒の声を聞く調査も継続し、その内容が大変興味深かったので1年生から3年生までを2012年度も学校の協力で10名選び、一人約15分から20分程度、小学校英語活動について話を聞いた。これは数的データとは異なる貴重な質的データである。先生方に依頼して、その聞き取った内容を昨年と同じく、2012年度も読んでいただいた。そうすると先生方がそれに呼応するかたちで、今回も「ふりかえり」の文章を書いて下さった。ただ、小学校で彼らを教えた先生方は教育予算減による人員削減で辞められ依頼できなかった。調査研究の2年目として、このことだけが残念だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度には初年度データを、継続研究である本研究のもととなった、前科研費研究科研費(2007-2010):基盤研究(C) 課題番号 19520530 :研究課題名 「小学校における英語教育活動の長期的な効果」のものと比較し、それらをまとめて、国際ジャーナル1誌、及び国内学会紀要等2誌(すべて査読付)に投稿、掲載された。また、国内学会でも3回発表を行い、質疑に応じると共に、さらなる研究協力のために新たな学会活動を展開した。調査研究は、上述の通り順調に進んでおり、さらに手法として「聞き取り」調査の定着により、質的にさらに広がりを見せつつ発展中である。
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今後の研究の推進方策 |
2013(平成25)年度は研究3年目であり、最終年度にあたる。初年度、及び2年目の研究調査は、学年度末3月実施の諸テスト実施がほとんどを占めているため、2012年度のデータを回収し、2011年度データと比較する作業に現在追われている。これから本研究2年目のデータの比較分析をし、発見成果を学会等の口頭発表や論文投稿を通じてできるだけ公表していきたい。研究協力校との関係維持・発展に努めるとともに、さらに他の研究者や実践者との交流も深めたい。特区の研究から始まった本研究であるが、2011年度から開始された「小学校外国語活動」に視点を移し、従来の英語スキル定着度の把握を量的(計量的に)から質的にも探りたいと考えている。それに関して、学会活動で知り合った先生方と、全国規模の調査も昨年度から試みているので、その結果も、学習者の英語スキル・情意の推移を解釈する一助としたい。また、教員側の「語り」からかなり面白い感想が得られているので、それらを出来るだけ活字にして「現場の声」として伝えたい。 成果公表として昨年度に続いて、大学英語教育学会や、日本児童英語教育学会、小学校英語教育学会などでの発表、並びに研究を論文としてまとめて投稿し、広く知られる機会を提供したい。わが国の小学校英語活動の今後を見据えるために是非とも必要なこととして、近隣アジア諸国に代表される「早期英語先進国」の現状と課題を、英語学習面と教員養成面からさらに深く調査したいと考えている。特に、タイが日本より早期開始(小1から)なのに、児童の英語力養成が他の国ほど成果をあげていない。英国が旧宗主国であるマレーシアなどとは大きな違いが見られる。これら諸国へフィールド調査を実施し、その原因となるものをつきとめ、今後の日本の早期英語教育施策考慮の一助としたい。研究分担者にはインタビュー実施、発表等の補助をしていただく予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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