研究概要 |
本研究の目的は留学を義務づけている学科の英語プログラムによって、学生の英語力と情意面がどのように変化するのかを事例研究の形で明らかにすることにある。グローバル化の進展によって多くの大学で留学生を増やそうと努力している現在、留学による学生の英語力と情意面の変化を扱った研究がほとんどないことから、本研究の成果は今後多くの大学で同様のプログラム開発の際の参考となるであろう。 1年目は、留学前後の学生の英語力を主にTOEFL ITPを使って測定し、留学前の学生の情意面を英語学習動機づけ、コミュニケーションに対する意欲(WTC)、英語speaking不安の観点から調査した。 2年目は、英語力の測定のために、TOEIC, TOEFL iBT, 英語のspeaking能力を測定するVersant、文法に関するメタ言語知識テストを実施し、面接や観察を通して、その要因についても調査した。情意面に関しては、留学前後及び他の英語を専門とする学科との違いを調べた。 最終年度である3年目はTOEFL iBTを利用して、留学前の1年次と留学後の3年次の間の学生の英語力の変化を時系列的に分析した。また、情意面に関しても3年間にどのように変化するのかを分析した。その結果、学生の英語力は、個人差が大きいが、TOEICではlistening及びreadingの両方が上昇し、合計で約164点伸びた。TOEFL iBTでは、平均して10点上昇したが、readingに関しては伸びなかった。Versantではspeakingの技能は留学後全体的に伸びていることがわかった。以上の要因として、テストの種類、留学中の生活や学習形態、学習意欲、メタ言語知識が影響していると考えられる。また、情意面に関しては、いずれも向上しており、国内で同じ英語を専攻する学生とは異なった動機づけ、WTC, 不安を持っていることがわかった。
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