研究概要 |
本研究では、究極目標として「コーパスと辞書で自立して楽しく英語使用ができるようになる」ことを設定し、個別目標に、 (1)コーパスを利用した英語研究のための指導法と教材の開発と (2)フレイジオロジーに基づく英語教育の推進を掲げている。(1)を達成するために、(1a) ESP: 学術論文作成へのコーパス利用と (1b) EGP: 大学英語教育一般へのコーパスの導入についての研究と実践を行う。 本年度は、1年目に引き続き、(1a)の大学院生の修士論文作成過程の英語ネイティブチェックによる誤用分析資料の収集を続けた。(1b)大学1年生一般英語で使用される表現を取り上げ、コーパスを利用した英語学習の実践を続けた。一例として、日本人英語学習者の誤りやすい前置詞 on, over, toについて、コーパスで各前置詞が後続する高頻度の名詞を抽出させ、effect/ influence/ attack/ report + on, win/ control/ controversy + over, approach/ access + to の共起関係を見出させ、コーパスによる発見学習の面白さを体験させた。(2)の一環として、共起関係から類義語の本質的意味に迫る研究を行った。This paperに続く動詞 investigate/ examines/ explores/ analyses の分析結果をまとめた。さらに、受動形を含む表現を、これまで軽視されがちのディスコースやレジスターとの関わりから捉えて分析した。例えば、I am sorry for causing you inconvenience/ for any inconvenience caused/ for any inconvenience this may causeにおけるコミュニケーション上の問題を頻度との関係で論じた。
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