研究課題
2011年度は、当初の計画通り、対話における統語的プライミング効果の調査(実験1)を実施した。その結果、全体として、プライミング効果は日本人英語学習者よりもL1英語話者に顕著であることが分かった。インタラクションは統語構造の構築だけでなく情報(意味)の交換を必要とするため、統語処理が自動化されていない日本人英語学習者にとっては認知負荷が高かったことが、理由として考えられる。対話における統語的プライミング効果についての研究の目的は、より実践的なスピーキングの学習・指導法への示唆を得ることである。この分野の研究は非常に限られているため、特に国際学会での発表や海外雑誌への投稿を活発に行うことは大変重要であると考える。実験1の研究成果については、The 34th Annual Conference of the Cognitive Science Society(2012年8月1日~4日/於札幌)でのポスター発表(採択済)および、The 10th Asia TEFL International Conference(2012年10月4日~6日/於デリー)での口頭発表(申請中)を予定している。なお、2010年度までの研究で、本研究課題に関連する2011年度の主要な業績としては、査読つきの投稿論文3本(うち2本は単著)が採択された。また、The 10th Annual Hawaii International Conference on Education(2012年1月5日~8日/於ホノルル)、Annual conference of American Association for Applied Linguistics (AAAL) 2012(2012年3月24日~27日/於ボストン)などの国際学会でも研究発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、対話における統語的プライミング効果の調査(実験1)を実施したため、研究はおおむね順調に進展していると考える。計画よりもむしろ規模が拡大し、60名を予定していた実験協力者が71名に増え、PO/DO構文に加えて能動態/受動態構文についても調査を行った。よって、実験結果の分析・考察に少し遅れが生じたため、AAAL 2012では、本研究課題に関連する以前の研究についてポスター発表を行った。
当初の計画通り、2012年度には、対話における疑問文の学習過程の観察(実験2)を、 2013年度には、スピーキング教材の開発およびその効果の検証(実験3)を、それぞれ実施する予定である。
2011年度は、業務の都合上、予定していた数件の国内外の出張が不可能となったため、旅費の計上が当初の計画よりも大幅に少なくなった。2012年度は、学会での研究発表以外にも、本研究課題に関する調査を行う目的で、当該研究費を主に出張旅費として使用する予定である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
The JACET Chubu Journal
巻: 第9号 ページ: pp. 141-154
認知科学
巻: 第18巻 2号 ページ: pp. 359-360
JACET Journal
巻: 第53号 ページ: pp. 75-91