「天聖令」の条文研究を深化させることを目的として実施した本研究の成果は、①宋代法典の佚文収集、②唐代法令(格・式を中心とする)の佚文収集、③「天聖令」残巻および『宋刑統』『慶元条法事類』テキストの再吟味の3つに集約できる。このうち、①については、北宋末に編纂された「政和勅令格式」と南宋初期に編まれた「紹興重修勅令格式」を中心として佚文を収集し、それらに基づき宋代法典条文の比較検討を行い、天聖令条文の歴史的位置づけについて考察した。②については、敦煌・トルファン出土資料を精査し新たな条文を発見した。また③については、『宋刑統』明鈔本を再検討することにより通行本に修正の余地があることを指摘した。
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