研究課題/領域番号 |
23520796
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (20306525)
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研究分担者 |
川上 淳 札幌大学, 文化学部, 教授 (10405623)
松本 あづさ 藤女子大学, 文学部, 講師 (90510107)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 北海道 / 近世 / 史料群 / 現状記録 / 場所請負 / 近代 / 利尻 / 十勝 |
研究概要 |
本研究「北海道所在史料群の伝存状況からみる地域的特質に関する基礎的研究」の当該年度の実績は、北海道地方の地域社会の特質をティピカルに示すと考えられる史料群である北海道河西郡豊頃町二宮地区の君尹彦氏収集文書ならびに同利尻郡利尻富士町鬼脇地区の寺島菓子舗文書を対象とした史料調査団を組織しての史料調査の実施を軸になされた。前者は2011年8月29日~31日に、後者は同年10月7日~9日にそれぞれ実施された。 調査にあたっては、現状記録方式を採用し、史料保存状況のスケッチ等による記録に基づき、現秩序に則した文書番号を付与し、中性紙封筒に封入・整理し、目録を作成した。また併せてディジタルカメラによる撮影を行い、大学における整理・分析の態勢を整えることができた。 君尹彦氏収集文書の整理からは、10万点に及ぶその膨大なボリュームの史料群の約半数を整理することが叶い、(1)北海道史研究に関する史学史的価値、(2)札幌師範学校ならびに十勝地方の初等教育を中心とした教育史的価値、(3)近現代社会風俗史料としての価値、等の位置づけが叶う印象を得ている。今年度も継続して整理を実施したい。 寺島菓子舗文書の整理からは、同文書群に含まれる近世史料のほぼ全点(約150点)の整理・撮影が終了した。近世松前における豪商の家政ならびに儀礼関係史料がそろっており、とくに香典帳の類からは従来知られるところの少なかった松前商人間の通婚関係などの社会的結合のあり方をリアルに知ることができ、今後の分析が期待される。今年度も、同文書群に含まれる近代史料の調査を継続していきたいと考える。 以上のように、北海道所在の近世・近代史料群を、現状記録方式を用い、大学院生・学生の参加を得て具体的かつ本格的に調査がなされたことは、今後の北海道における歴史研究の水準を担保するうえでも、大きな意義があったものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画に記した、ふたつの史料群を対象とした調査団を組織しての史料調査を実施することが叶ったため。目録の電子入力作業も、逐次進めることができた。ただし、直接の調査概報については、目下投稿準備中で、本年度公表の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、引き続き平成23年度と同規模の史料調査を年2~3回実施し、現状記録・目録作成・史料撮影をおこなう。調査の概報も、公表する。併せて、得られた現状記録ならびに史料画像を素材とし、史料の構造分析ならびに史料から見出された論点に即した研究を進める。 最終年度の平成25年度は、目録の完成を期してまとめの史料調査を実施する。そのうえで、現状記録・目録に関しては、研究報告書等のかたちで頒布できるような作業を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
藤女子大学に配分した直接経費の一部は、文書整理封筒の購入や配分先の整理用PCの整備等に充当したい。当該研究費が生じた理由は、目録電子化や電子化された史料の研究分担計画の過程で、PCの整備のタイミングがずれてしまったためである。次年度はこれを解消し、効率的な研究環境を構築したいと考えている。
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