• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

近世後期における豪農商層の政治的力量-人脈・情報・信頼-

研究課題

研究課題/領域番号 23520809
研究機関京都大学

研究代表者

岩城 卓二  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (20232639)

キーワード豪農商層 / 情報 / 人脈 / 信頼 / 手紙
研究概要

本年度は、本課題の中心となる石見大森町の豪農商熊谷家に加えて、石見大森代官所支配地である国立歴史民俗博物館所蔵福富家文書、豊後日田廣瀬家文書を調査した。
福富家文書は、幕府領組合村関係文書と、本課題でとりあげる石見浜田藩転封前後の地方史料を収集し、村側からみえる掛屋熊谷家について検討した。掛屋・郷宿と村の関係が知られる史料が豊富で、WEBで閲覧できる島根大学所蔵大森代官所幕府領文書とあわせて浜田藩転封前後の村の動向について明らかにした。
廣瀬家文書は、東京大学史料編纂所所蔵の写真帳「廣瀬本家日記」を調査し、熊谷家および熊谷家の重要な情報源である大坂の掛屋大坂屋貞次郎との手紙の遣り取りに関わる記事を調査し、筆写した。これは次年度に日田で予定している廣瀬家文書の予備調査を目的としたが、熊谷家では知られない手紙の通信方法が具体的に明らかとなった。同史料については、引き続き調査・筆者を行い、現地調査に反映させていく。
熊谷家文書は、手紙史料の撮影(24年度約8,000コマ撮影)を継続するとともに、新たに発見された近代文書、とくに郵便局史料を調査・写真撮影し、近代以降の熊谷家の人脈の変化について検討した。また、前年度に引き続き、研究成果の社会発信を目的に、熊谷家住宅において講演会を実施し、同住宅管理者および大田市教育委員会関係者と、熊谷家文書の活用について協議した。
他に、山口県立文書館所蔵毛利家文書と、国立公文書館所蔵文書を調査した。前者は熊谷家と縁類にあるとされる藩士の確認、後者は浜田藩の棚倉転封関係史料の調査を目的とし、3点の史料を収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

著書・論文での研究成果の公表は、最終年度に行う予定で、24年度は、23年度に引き続き関係史料の所在確認、調査・収集を順調に実施した。調査過程で、当初計画に予定していなかった重要史料の所在も確認できた。
研究成果の社会発信は、市民との交流会を定期的に行っており、熊谷家文書の今後の活用についても協議を継続している。当初予定していた市民向け小冊子の刊行は、次年度に持ち越す。
以上から、本課題はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

25年度は、熊谷家に加えて、日程調整がつかなかったため未調査に終わった廣瀬家文書・九州大学所蔵文書、24年度に新たに確認した浜田藩の転封史料が確認できる川越藩関係文書調査を行う。
また、撮影文書をすべて紙焼きすると保管に難があるため、24年度は紙焼きを控えたが、今年度は一部、紙焼きを行う。

次年度の研究費の使用計画

研究費の大半は、史料調査の旅費にあてる。また、前年度に刊行できなかった市民向小冊子の刊行費用にあてる。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi