本研究は、『御遺言条々』なる書物から窺える勧修寺家の財の継承を分析し、古代・中世移行期における宮廷社会の「家」の成立過程を明らかにしようとしたものである。そうした目的のもと、(1)『御遺言条々』の翻刻と書誌学的検討、(2)勧修寺家所領の現地比定と現況調査、(3)勧修寺家の文書・記録の伝来・継承に関する検討、(4)家財継承の歴史的変遷に関する考察、の4つの課題を設定して調査研究を遂行した。このうち、一定の成果をあげることができたと考える(1)と(2)に関して、翻刻、解題、所載荘園の検討(稿)の3部構成からなる『勧修寺家本『御遺言条々』の基礎的研究』という報告書を刊行し、研究成果を公表した。
|