荘園制市場構造が解体して幕藩制市場構造が成立する過程を探るため、東アジア経済の影響が比較的強い西国における戦国・豊臣期の物流の歴史的展開を、銀の国外流出や社会浸透と絡めて段階的かつ具体的に明らかにするもので、近年の考古学成果もふまえながら「モノ」の流れや、それを担う「人」(主に広域活動商人)の性格や経済活動を分析する一方、地形図や現地調査の実施によって戦国期の地域経済拠点(港湾・宿・市)の空間構成を復元し、その後の展開を追うことで近世城下町を中心とする物流の成立過程を考察した。16世紀の東アジアにおける銀の動向を背景とする戦国・豊臣期の政治経済の構造的変化について明らかにした。
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