本研究では「朝鮮出兵」自体の史実について新たな解明を進め、加藤清正や黒田孝高といった諸大名の活動を中心に数編のモノグラフをまとめることができ、「朝鮮出兵」の史実をより豊かなものとすることができた。また、「朝鮮出兵」の記憶と記録化という課題についても、近世・近代に著述、刊行された多くの文献を入手した。このうち対馬の山崎尚長が編纂したとされる「両国壬辰実記」については、幕末期に刊行された「正実 朝鮮征討始末記」との異動を詳細に論じた。また、文献調査にかかわる成果の一部として、明治期から昭和戦前期に国内、朝鮮半島で刊行された著作・論文を関係文献目録としてまとめた。
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