研究課題/領域番号 |
23520830
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
千々和 到 國學院大學, 文学部, 教授 (10013286)
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研究分担者 |
矢部 健太郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (20459001)
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キーワード | 日本史 / 起請文 / 牛玉宝印 / 神仏分離 / 思想史 / 中世史 / 近世史 / 血判 |
研究概要 |
1 本年度は、岡山県岡山大学図書館、山口県毛利博物館、福岡県福岡市博物館・九州大学図書館等の起請文原本調査のほか、研究会等を開催し、充実した研究が実施できた。 2 起請文原本調査の岡山大学図書館調査は、2012年9月と2013年3月に実施した。同図書館には池田家文庫があり、岡山池田藩の文書が保存されている。この文書群中の起請文を中心に調査し、明治初年の起請文の中に、梵字の朱印のかわりに神代文字の使われた起請文があることを確認した。これは、神仏分離後の起請文を考える上で、きわめて重要な発見である。 3 2012年10月には福岡県の文書調査をした。福岡市博物館では黒田家文書の起請文を調査し、九州国立博物館では宗家の木製の起請文札を調査した。 4 2013年3月には、山口県防府市の毛利博物館で、中世末~近世初期の起請文を調査した。毛利博物館では、徳川家康・井伊直政が関ヶ原合戦直後に毛利輝元父子に渡した起請文を仔細に調査させていただいた。血判の有無、収められていた状況など、重要な知見を得た。 5 2回の研究会は、國學院大學の会議室を借りて開催した。2012年10月の研究会では長又高夫氏の報告「北条泰時と起請」、2013年1月の研究会では山崎布美氏「織田政権期の霊社起請文について」と大河内千恵氏「江戸時代の霊社起請文について」を得て、起請文のありようについての新知見が披露された。また、東京大学史料編纂所の収集文書と國學院大學図書館所蔵の刊本史料の総めくり作業が、ほぼ順調に推移している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の主要な調査対象に選んだ池田家文書および黒田家文書、毛利家文書は、所蔵する岡山大学図書館、福岡市博物館、毛利博物館等のあたたかいご協力を得ることができ、ほぼ当初の目的を達成することができた。 また、定例の研究会も予定通り2度開催することができ、刊本等の総めくり作業も、順調である。 ただ、ニューズレターの発行が、原稿とりまとめ中に新史料がみつかるなどしたので、やや遅延しており、それらを総合的に判断し、(2)おおむね順調に進展している、を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
1 9月をメドに、ニューズレター(『護符起請文研究』)の今年度1冊目を刊行して、調査・研究の概要を広報するとともに、今年度の調査対象先との折衝を行う。調査対象としては、初年度に続いて仙台市博物館の調査を行うとともに、四国・中国地方、九州の調査を予定している。調査は、おおむね3~4名程度での実施を考えている。 2 3月をメドに、ニューズレターの2冊目を刊行する予定である。 3 研究の実施にあたっては、全体打合会を3回開催するとともに、そのうち2回は公開研究会を同時にセットしたいと考えている。最終年度なので、最後の公開研究会にあわせて、國學院大學博物館のスペースを借りて、収集した史料の展示を行うつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
主要な使途は、平成23、24年度と同様、調査旅費と謝金とその他(サーバー賃借料及びニューズレターの発行費等)である。 今年度は、事務・資料整理の謝金はほぼ前年度並みで、これまで調査できなかった文書所蔵者への調査のための旅費がやや多くなり、最終年度なので、最後の公開研究会および史料展示会の準備等のために謝金を支出したいと考えている。
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