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2013 年度 実績報告書

中世兵糧の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520836
研究機関早稲田大学

研究代表者

久保 健一郎  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60257235)

キーワードモノとしての兵糧 / カネとしての兵糧 / 戦争経済
研究概要

本研究では、日本中世において兵糧が、1・いかなる存在形態であり、2・いかなる地域的特徴をもち、3・いかなる時期的変遷を経るかを明らかにする目的を、文献史料(古文書・古記録・軍記物語等)からの「兵糧(兵粮等を含む。以下同じ)」文言収集を通じて行う方法をとった。
その結果、文献史料は古文書が中心となり、古記録・軍記物語については補助的役割にとどまったが、次のような認識を得た。1については、史料上「兵糧」と表記されているものは、内容が明らかな場合は米が多いこと、備蓄は十分でない場合が多いこと、調達には多様な方法があったことなどが明らかになった。2については、東国・西国・畿内近国などの地域によって、際だった特徴はみられず、中世の列島上において、「兵糧」はほぼ同様の存在形態を示すことが明らかになった。3については、院政期・鎌倉時代には年貢・公事とは別に賦課・徴発されていたものが、南北朝時代には戦費、また戦争がおさまってからは在地からの得分化するなど、モノ(実際に食糧として消費される)としての存在に加え、カネ(交換・利殖手段とされる)として用いられるようになること、戦国時代になるとモノとしてもカネとしても「兵糧」はいよいよ活発に用いられることが明らかになった。
以上のところから検討を進め、平成25年度には次のような成果を得た。「兵糧」は時代が下るにつれ、いよいよ戦争の中で重みを増すのみならず、戦国社会においては、いわば戦争経済の中心となること、また「兵糧」を中心とした軍需物資が戦時に活発に消費されることを通じ、戦争は困窮だけでなく一部では活況すらもたらすことである。これらは上記の平成24年度以前の成果と併せ、戦争論・社会経済史の発展に寄与する成果と考える。

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公開日: 2015-05-28  

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