研究課題/領域番号 |
23520841
|
研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
岡野 友彦 皇學館大学, 文学部, 教授 (40278411)
|
研究分担者 |
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
漆原 徹 武蔵野大学, 文学部, 教授 (20248991)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 古文書学 / アーカイブス学 |
研究概要 |
本研究は「古文書学の再構築―文字列情報と非文字列情報の融合―」と題し、古文書上に書かれ、多くの場合活字化されて歴史学の「史料」として活用されている文字列情報と、和紙としての古文書そのものが本来有する非文字列情報とを融合した、新たなる古文書学を提唱するとともに、古文書学とアーカイブス学(文書保存学)との対話の可能性を探ることを目的とする。上記の目的のため、7月23~24日に伊勢市で、11月23~24日に京都市で、24年の3月22~24日には東京で、調査と研究会を実施した。7月の伊勢での調査では、神宮徴古館所蔵文書の閲覧と、今後の研究の進め方についての打合せを行い、11月の京都での調査では、東寺宝物館所蔵東寺文書の熟覧と、花田卓司「「国宝東寺百合文書の魅力」を読む」、神野潔「「かたまり」・「かさなり」と『熊谷家文書』」という二本の研究報告を行った。また3月の東京での調査では、国立公文書館内閣文庫所蔵「徳川家判物并朱黒印」の熟覧を行うとともに、上島有による「国立公文書館内閣文庫所蔵『徳川家判物并朱黒印』について」という研究報告を行った。これらの調査・研究を通じ、上島有が提唱している第I類~第VII類という料紙の区別について、研究メンバー全員の共通認識を得ることができた。また同じく上島が提唱する「かたまり」「かさなり」論についての共通認識を得るとともに、今後の研究の進め方について、一定の見通しを立てることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請に際し、私たちは京都府立総合資料館所蔵の東寺百合文書に収められる室町幕府文書を素材として研究を進める予定であった。しかし交付の決定を受けた平成23年度に入り、特に重要文化財指定を受けた古文書については、その保存の観点から、熟覧の機会が限られ、必ずしも京都府立総合資料館の全面的な協力が得られないことが判明した。そのため私たちは、神宮徴古館・東寺宝物館・国立公文書館など、研究メンバーの熟覧の許可が得やすい機関所蔵の古文書へと研究対象を変更し、23年度の調査を行ってきた。当初の予定から、素材とする研究対象を大きく変更したということで、研究計画に若干の遅れが認められるが、残りの二年間で、研究目的は充分に達成可能なものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度末に実施した国立公文書館での調査において、USBカメラとミクロメータースコープを組み合わせた顕微鏡デジタルカメラが、本調査に有効であることが確認されたので、24年度当初にこれを購入し、引き続き全国各地の中世~近世の古文書調査実施したい。併せて「古文書学の再構築」にむけた研究会を実施し、当初の研究目的に向けた研究成果が得られるよう努力したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
USBカメラとミクロメータースコープを組み合わせた顕微鏡デジタルカメラが一式で17万円ほどであることがわかったので、まずはこれを購入したい。ついで全国(国内)の古文書所蔵先に調査に伺うので、その旅費を使用したいと考えている。
|