研究課題/領域番号 |
23520844
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西本 昌弘 関西大学, 文学部, 教授 (00192691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 年中行事書 / 新撰年中行事 / 小野宮年中行事 / 歳時記 / 除目書 / 綿書 / 新史料 |
研究概要 |
平成23年度はまず研究環境を整えるために、ノートパソコンや日本古代年中行事関係図書を購入するとともに、宮内庁書陵部・国立公文書館・国立歴史民俗博物館などに出張し、日本古代の年中行事書を中心とする写本類の調査を進めた。出張調査の結果、参照すべき必要性を感じた写本類は、これを紙焼写真の形で購入し、その内容に関する読解を順次進めた。『小野宮年中行事』の写本は精力的にこれを収集し、写本系統を究明して善本を見出す努力を行った。次に、東山御文庫本『新撰年中行事』所載の行事項目と東山御文庫本『小野宮年中行事』所載の行事項目を比較するために、マイクロソフトエクセルを用いて対照一覧表を作成し、研究協力者に依頼して、入力を開始するための準備を行った。両書は類似した行事項目をもつが、その相違点も大きく、その相互関係を細かく考究する必要がある。さらに11月には、京都御所東山御文庫に出張して写本調査を行い、未知の年中行事書や古典籍が存在しないかどうかを検討した。 一方で、『新撰年中行事』を中心とする新出の年中行事書・儀式書に関して、私がこれまでに公表してきた研究成果を集成して、『日本古代の年中行事書と新史料』(吉川弘文館、2012年2月刊)を刊行した。このなかには、新稿が2本含まれている。また、東山御文庫で閲覧した『除目抄』(勅封153-12)という写本が、源師時が院政期に編纂した大部の除目書『綿書』を構成する一巻たる「職事撰申文事」の伝本であることをつきとめ、このことを考察した研究論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『新撰年中行事』と『小野宮年中行事』の行事項目を比較検討する作業はやや遅れているが、これはテキストを確定するための作業を慎重に行っているためである。今年度は東山御文庫本をはじめとする『小野宮年中行事』の諸写本を精力的に収集したので、次年度以降、よりよい善本を確定し、『新撰年中行事』との比較対照を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、研究協力者に依頼して、『新撰年中行事』と『小野宮年中行事』の行事項目対照表を完成させるようにする。この一覧表を利用して、両書の共通点と相違点を見極め、両書の性格と編纂意図を明らかにしたい。また、中国や朝鮮における歳時記研究の成果を取り入れ、『新撰年中行事』などにみえる行事の背景を、東アジア的な広がりのなかで捉える努力を行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はあまり使用できなかった謝金を、次年度は積極的に活用したい。また、今年度に引き続き、国内出張費を利用して、宮内庁書陵部・国立公文書館・東京大学史料編纂所などに赴き、写本調査を行う。今年度と同様、京都御所東山御文庫においても調査を実施する予定である。
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