藤原行成撰『新撰年中行事』は多数の行事項目を掲載し、未知の関係史料を引用しているため、既知の年中行事書と対比検討することによって、日本古代の年中行事研究に新たな手がかりを提供する可能性を秘めている。本研究では、『新撰年中行事』と『小野宮年中行事』の記載を比較する対照一覧表を作成し、検討を進めた。両書の類似点はともに『九条年中行事』を踏まえていることに求められよう。『新撰年中行事』は弘仁式など古くに遡る史料を博捜して、行事の淵源を探る視点が強いため、『小野宮年中行事』とは大きく異なる本文をもっているものと考えられる。
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