研究課題/領域番号 |
23520851
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
下郡 剛 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (50413886)
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研究分担者 |
林 譲 東京大学, 史料編さん所, 教授 (00164971)
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キーワード | 仏教 / 社会的機能 / 臨済宗 / 真言宗 / 観音信仰 / 補陀落渡海 / 金石文 / 日記 |
研究概要 |
昨年度調査の結果、沖縄県外資料から集積したデータの信頼性を高めてゆくために、沖縄県内資料データについても集積してゆく必要があることが確認できた。そのため、本年度は、昨年度同様、東京大学史料編纂所資料を中心に、琉球寺院関係データの集積を進めると同時に、琉球国内の活字史料についてもデータ集積を開始した。また昨年度確認した琉球仏教関係石碑について、3月中旬に、研究代表者・研究協力者の2名で拓本採取調査を行った。調査の結果、当該石碑は下半部が土中に埋もれていることが確認でき、来年度、改めて、考古学分野と協力の上、再調査を行う必要があることを確認した。 研究成果として「乾隆二十四年作成の久米島具志川間切家譜」(『日本歴史』)、「日記に見える院宣について」(『日本研究』)、「近世琉球における役所の日記と役人の日記」(『歴史と地理 日本史の研究』)を公刊する他、「琉球の日記」(国際日本文化研究センター)、「幕末の琉球の日記―異国船来航記事をめぐって―」(国際日本文化研究センター)、「日記にみる首里士族の生活―伊江親方朝睦日記をとおして」(那覇市歴史博物館)、「福地家文書に見る那覇士族の生活―御物城日記と那覇筆者日記」(那覇市歴史博物館)の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度確認した沖縄県内仏教関係資料調査の必要性に基づき、県外資料データ集積と同時に県内資料データ集積及び、県内石碑調査を進めた。特に県内石碑資料については、調査の結果、下半部が土中に埋もれていることを確認できた点は大きな発見であった。しかし、考古学的調査は来年度の課題として残された結果、石碑の碑文解明自体は依然として出来ていない。よって「おおむね順調」とした。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究が生じた状況は、昨年度の報告書に記述した理由により、昨年度分の研究費が計画どおりに執行できなかったため。昨年度遅れた分全てを今年度だけで取り戻すことができなかった。 次に「今後の推進方策」について述べる。 昨年度に計画の修正を行い、研究代表者・研究分担者・研究協力者の合同での沖縄現地調査を二年度目も行うとし、当該調査の結果、琉球仏教関係石碑の下半部の埋蔵が判明した。よって、同調査は三年度目以降も実施する。次年度は、上記石碑の考古学的調査を中心に実施する。琉球大学考古学研究室・那覇市文化財課埋蔵文化財グループ・那覇市歴史博物館の支援をえながら行うことを計画中で、準備を既に進めている。さらに、沖縄本島以外の仏教関係石碑について、報告書が作成されていないものがある。次年度は当該石碑についても研究代表者一人で予備調査を実施し、四年度目の科研研究チームでの共同調査につなげたい。 他方で、次年度も東京大学編纂所架蔵史料および沖縄県内活字史料から琉球仏教寺院関係データの集積を継続する。今年度、刊行準備を進めるとした『琉球国由来記』「諸寺旧記」続編については、次年度中に出版社に入稿したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度報告書に記した計画変更中、石垣島・伊江島での研究代表者による調査旅費、及び研究代表者・研究分担者・研究協力者合同での沖縄本島調査・離島調査は、平成23年度中に執行できなかった研究費(次年度使用額)を充てる予定であるため、全体としては、申請時と大きな変更はない。
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