本年度も昨年度までと同様、東京大学史料編纂所資料を中心に、琉球寺院関係データの集積を進めると同時に、琉球国内の活字史料についてもデータ集積を行った。また、昨年度に発掘調査した那覇市沖宮の石碑について文献調査を継続すると同時に、同石碑に関係すると思われた沖縄市池原の石碑の現地調査を新たに実施した。さらに、昨年度までの調査で新知見を得られていた石垣市桃林寺での金石文ほか文化財現地調査を実施した。その上で、沖宮石碑・池原石碑・桃林寺資料について沖縄県外史料を駆使した各資料成立の背景の継続調査も行い、本年度内に研究成果の発表までを行った。 研究成果として「首里城公園内金石文二題-弁財天堂前の手水鉢と冊封正使趙文揩の石碑片-」(『ぶい・ぶい』29)、「近世琉球における日記の作法―那覇役人福地家の日記をとおして―」(倉本一宏編『日記・古記録の世界』)、「琉球の日記にみる公から私への転換-『福地家日記』をとおして-」(『古文書研究』77)の三論文、『沖宮順治十七年石碑-研究編-』(日本史史料研究所)、『近世琉球寺院の原風景を追う―石垣島桃林寺の墓碑と三牌-』(日本史史料研究所)の二著を刊行した。
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