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2012 年度 実施状況報告書

日本の朝鮮植民地統治と軍

研究課題

研究課題/領域番号 23520852
研究機関国際日本文化研究センター

研究代表者

松田 利彦  国際日本文化研究センター, 研究部, 准教授 (50252408)

キーワード朝鮮 / 植民地 / 軍
研究概要

平成24年度における国内外の資料調査は以下の通りである。
6回にわたる東京での調査では、国会図書館・東京大学・国立公文書館などを中心として、朝鮮駐屯日本軍の司令官・参謀長の個人文書の調査に重点を置き、特に国会図書館憲政資料室所蔵の関連書簡について調査を終えた。国内では、ほかに仙台市立博物館、福知山駐屯地での資料収集を行った。
海外調査は5回行った。朝鮮民主主義人民共和国を学術調査団の一員として訪問し、日露戦争の遺跡、朝鮮労働党関係の資料などを見たほか朝鮮社会科学研究院の近代史研究者と意見交換の機会を持った。韓国では3回調査を行ったが、韓国中央図書館・国会図書館などソウルでの文献調査以外に、全羅南道地方でフィールドワークを行った。また、アメリカ東海岸に出張し、スタンフォード大学フーバー研究所、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館で、日本陸軍関係者の個人文書、朝鮮駐屯日本軍作成資料などを収集できた。
成果物としては、編著書『地域社会から見る帝国日本と植民地―朝鮮・台湾・満洲』(思文閣出版、2013年3月)をまとめたほか、『植民地帝国日本における支配と地域社会』(国際日本文化研究センター、2013年3月)、『帝国と高等教育―東アジアの文脈から』(国際日本文化研究センター、2013年3月)を公刊した。口頭発表としては、2012年6月に、韓国高麗大学韓国学研究所主催シンポジウムで「韓国駐箚軍参謀長・大谷喜久蔵と韓国」の発表を行った。また、先述の仙台調査で入手した松川敏胤朝鮮軍司令官の日記をもとに、「日本陸軍の大陸政策と朝鮮」を朝鮮近現代史研究会で口頭発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国内・海外の史料調査とも充実した成果を上げることが出来た。特記すべきものとしては、国会図書館憲政資料室所蔵の関連書簡についての調査は時間を要したが、カード目録を確認しながらの調査を完了させた。また、仙台市立博物館で、これまで朝鮮史研究で用いられてこなかった松川敏胤日記を入手することができた。
ただし、中国海南島での調査はこの間の日中間の外交問題の影響もあり実現できなかった。
研究成果の公開は、韓国高麗大学韓国学研究所主催シンポジウムでの「韓国駐箚軍参謀長・大谷喜久蔵と韓国」の発表、松川敏胤朝鮮軍司令官の日記を用いた「日本陸軍の大陸政策と朝鮮」を朝鮮近現代史研究会での発表を行った。
ただし、史料の制約もあり、これまで研究成果として発表できたのは1905~1919年頃に偏っている。国会図書館や東大、アメリカでの調査によって戦時期の朝鮮駐屯日本軍についてもある程度見通せる感触を得つつあるので、こちらについても早期に成果をまとめていきたい。

今後の研究の推進方策

陸上自衛隊衛生学校所管の史料館・広報センターの調査をこれまで東京三宿・朝霞、福知山・浜松などで進めてきたが、今後とも長野・島根・福岡などの自衛隊所管の史料館での調査を進める計画である。
海外では、これまで十分でなかった第二次世界大戦期の史料調査を進めたい。韓国では、国史編纂委員会・国家記録院などで刑事裁判記録を調査し、特に朝鮮人志願兵・徴兵関係の資料を収集したいと考えている。スウェーデン国立公文書館で、連合国軍捕虜関係資料を中心に調査を行う。また、米国にて、ワシントンNARAを中心に、朝鮮に関わりをもった日本軍関係者の資料を調査を予定している。
調査とともにデータの入力・整理、論文の作成も進めていく。これまでに収集した資料を基に、石原莞爾と朝鮮についての研究書の執筆を進めており、年末までの入稿を目指す。

次年度の研究費の使用計画

国内旅費は東京・長野・福岡などの調査に充当し、複写費用も主にこれらの機関での資料複写のために使用する。海外旅費はスウェーデン・韓国・アメリカなどでの調査に使用する。この他、研究テーマに関わる基礎資料集や研究書が刊行された場合はその都度購入していく。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「序 <相互参照系>としての植民地朝鮮と台湾」2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 雑誌名

      『(第40回 国際研究集会報告書)植民地帝国日本における支配と地域社会』

      巻: 40 ページ: 7~13

  • [雑誌論文] 「植民大学比較史研究の可能性/不可能性」2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 雑誌名

      『(第42回 国際研究集会報告書)帝国と高等教育―東アジアの文脈から』

      巻: 42 ページ: 7~15

  • [雑誌論文] 「植民地支配と地域社会―朝鮮史研究における成果と課題」2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 雑誌名

      松田利彦・陳ジョン湲共編著『地域社会から見る帝国日本と植民地―朝鮮・台湾・満洲』

      巻: 0 ページ: 25~48

  • [雑誌論文] 「植民地期朝鮮における消防組について」2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 雑誌名

      松田利彦・陳ジョン湲共編著『地域社会から見る帝国日本と植民地―朝鮮・台湾・満洲』

      巻: 0 ページ: 99~130

  • [学会発表] 「韓国駐箚軍参謀長・大谷喜久蔵と韓国―大谷関係個人史料を中心に」

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 学会等名
      高麗大学校韓国学研究所主催シンポジウム「日記を通じてみる近代と伝統」
    • 発表場所
      韓国・高麗大学校
  • [学会発表] 「在日コリアンとニューカマー問題]」

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 学会等名
      青巌大学校在日コリアン研究所主催シンポジウム「在日コリアン Diasporaの形成と展開―移住と定住を中心に」
    • 発表場所
      韓国・青巌大学校
  • [学会発表] 「日本陸軍の大陸政策と朝鮮」

    • 著者名/発表者名
      松田利彦
    • 学会等名
      朝鮮近現代史研究会
    • 発表場所
      青丘文庫
  • [図書] 『地域社会から見る帝国日本と植民地―朝鮮・台湾・満洲』2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦・陳ジョン湲共編著
    • 総ページ数
      828
    • 出版者
      思文閣出版
  • [図書] 『帝国と高等教育―東アジアの文脈から』2013

    • 著者名/発表者名
      酒井哲哉・松田利彦共編
    • 総ページ数
      265
    • 出版者
      国際日本文化研究センター
  • [図書] 『植民地帝国日本における支配と地域社会』2013

    • 著者名/発表者名
      松田利彦・陳ジョン湲共編
    • 総ページ数
      186
    • 出版者
      国際日本文化研究センター
  • [備考] 研究者一覧

    • URL

      http://www.nichibun.ac.jp/research/faculty/staff1/matsuda.html

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公開日: 2014-07-24  

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