研究課題/領域番号 |
23520856
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
藤田 励夫 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, その他部局等, 研究員 (00416554)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大般若経 |
研究概要 |
自治体史等については、東北地方、関東地方、北陸地方、静岡県については県史の検索を実施し、関係資料を複写して集約した。全国の都道府県のホームページから文化財指定されている大般若経についてのデータを検索し、さらに該当する市町村のホームページの情報も加えて集約した。史料集については、『大日本史料』、『大日本古文書』、『大日本古記録』、『平安遺文』、『鎌倉遺文』については、索引が有るものはそれらを利用し、無いものは通読して大般若経関連箇所を複写、集約した。『史料纂集』については、検索作業を進めている。 9月には、韓国・ソウルで開催された粧こう研究会に参加して手漉き紙に関する発表を聴講し、仏教中央博物館で開催された高麗版大般若経に関する特別展と慶尚北道聞慶の手漉き韓紙工房を視察した。11月には、中国・四川省成都で開催された「東アジアにおける伝統的製紙技術及び紙文化財の保存修理研究」会議に出席し、四川省夾江と重慶市梁平の手漉き竹紙工房を視察した。竹紙は中国の経典に多用された料紙で、竹紙経典は我が国にも数多く舶載されているが、竹紙の生産は我が国では行われた記録が無い。7月と12月には長崎県立対馬歴史民俗資料館保管の大般若経を調査した。 滋賀県教育委員会所蔵の大般若経調査カードや写真を閲覧し、円福寺所蔵大般若経の写真を焼き付けた。 以上のように、全国の大般若経所在情報と大般若経に関する史料の集約を進めるとともに、手漉き紙工房および大般若経の実地調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、現存する大般若経の情報を集約して一望できるようにするという目的については、都道府県史等の自治体史と自治体のホームページを詳細に検索することにより実施している。これらの作業については、前述したように順調に進捗している。 古文書、古記録等にある大般若経関係史料を集約、編年して、大般若経が中世に数多く流布した社会的背景を明らかにするという目的については、『大日本史料』をはじめとする主要な史料集の検索を進め、複写している。 研究上、学術的価値が高いとみなされる大般若経を調査し、既存の研究を補完するという目的についても、対馬や滋賀の大般若経調査を実施した。 また、料紙の品質や料紙加工についての知見を得るために、手漉き紙工房の調査も実施している。
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今後の研究の推進方策 |
自治体史や自治体のホームページの検索については、今後も継続して実施し、全国の大般若経所在情報を集約していく。 史料集の大般若経関係史料の検索についても、今後も継続して実施し、年表を作成して集約していく。 主要な大般若経および料紙製作についても、さらに調査を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
自治体史、自治体ホームページおよび史料集の検索については、主に研究アシスタントを雇用して実施し、謝金等を当てる。 大般若経調査については、対馬および滋賀、四国等を予定している。料紙製作については、中国・安徽省における宣紙製作の現場を調査する。また、高知県等で開催される関連する展覧会の視察を実施する。これらには旅費を当てる。 中国語、韓国語の電子辞書や関連図書の購入を予定しており、これらには物品費を当てる。
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